ポーランドに台湾貿易投資センター、ドローン提携MOUも

　ポーランド訪問中の龔明鑫・経済部長は10日、首都ワルシャワで、台湾企業の投資を支援する「台湾貿易投資センター」の開所式を執り行った。台湾貿易投資センターの設置は、チェコのプラハ、福岡、米国のダラスに続く4カ所目。龔・経済部長は開所式の前に、台湾とポーランドのドローン（無人機）産業の提携拡大に関する協力覚書（MOU）の署名にも立ち会った。中国メーカーを含まない非・紅色供給網（ノン・レッドサプライチェーン）の構築を進める。15日付自由時報などが報じた。

龔・経済部長（左5）は、電電公会のポーランドでの科学園区設立計画について、支援を表明した（経済部リリースより）

　経済部は10日、台湾・ポーランド企業フォーラムを開催し、台湾とポーランドの産業界などの120人以上が出席した。その中で、ワルシャワの台湾貿易投資センターの開所式が行われた。台湾企業の投資障壁を取り除き、コストを低減し、中東欧での商機拡大を支援する。

　龔・経済部長はフォーラムで、台湾とポーランドの交流は前回の訪問時より緊密になったと語った。ポーランドは台湾のAI（人工知能）サプライチェーン（供給網）の強みを利用して、欧州連合（EU）に対してAIギガファクトリー計画を提案できると指摘した。台湾とポーランドはAIや半導体のほか、ドローンや電気自動車（EV）、グリーンエネルギーなどでも協力できると説明した。企業間の交流を促進するほか、大学や研究開発（R＆D）機関の連携を強化できると述べた。

■ドローンの最大輸出先

　フォーラムの前に、ドローン業界団体の台湾卓越無人機海外商機聯盟（TEDIBOA）とポーランドドローン商会（PISB）が提携MOUを交わした。台湾側は航空機・部品メーカーの漢翔航空工業（エアロスペース・インダストリアル・デベロップメント、AIDC）、ポーランド側はテラ・ヘクセン社が代表して署名した。

　MOUは台湾とポーランドのドローン産業の連携強化を目的とする。非・紅色供給網の共同構築やシステム統合、中核技術の協力を含む。このほか、双方の法規制、市場アクセス、共同試験や実証フィールドの整備などが含まれる。

　龔・経済部長は、ポーランドは台湾のドローンの最大の輸出先で、このMOUを通じ、安全で、信頼できるドローン産業のエコシステム（ビジネスの生態系）を構築すると表明した。

TEDIBOAの主席を務めるAIDCの曹進平・総経理は、ロシアのウクライナ侵攻以降、ドローンは国防にとって不可欠な存在だと指摘した（TEDIBOAリリースより）

　経済部の統計によると、台湾の1〜10月のドローン輸出額は5475万米ドルで前年の12倍だった。うちポーランド向けは2151万米ドルで、約40％を占めた。

　林佳龍・外交部長は自由時報のインタビューで、台湾はポーランドと既に共同出資で、ドローン産業の提携を進めていると明かした。ロシアからドローンの侵入がある中東欧諸国では、ポーランドのほか、チェコやバルト三国（エストニア、ラトビア、リトアニア）と提携していると説明した。

■ポーランドで科学園区計画

　電機・電子産業の同業者団体、台湾区電機電子工業同業公会（電電公会、TEEMA）の理事長を務める電子機器受託製造サービス（EMS）最大手、鴻海精密工業（ホンハイ・プレシジョン・インダストリー）の劉揚偉・董事長は最近、ポーランドを訪問した。

　鴻海は電電公会などと、ポーランドや米国、メキシコ、インドで科学園区を開発する「TEEMA科学園区（TEEMAテクノロジーパーク）」プロジェクトを発表している。

　経済部は、来年6月22〜24日にワルシャワで欧州台湾形象展（台湾エキスポヨーロッパ）を開催する予定だ。ワルシャワでの開催は初めて。▽テクノロジー、▽スマート製造（スマートマニュファクチャリング）、▽グリーンエネルギー、▽情報セキュリティ──などについて出展する。

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