ニュース 政治 作成日:2026年10月23日_記事番号:T00131504
11月28日に4年に一度の統一地方選挙が行われ、全22県市の首長や議員が選ばれる。
台北市は、国民党が強い地盤で、国民党の公認候補で現職の蒋万安・台北市長(47歳)が再選するとの見方が強かったが、民進党の公認候補、沈伯洋・立法委員(44歳)が支持率で上回る世論調査結果が飛び出した。
蒋・台北市長の市政運営に対する不満がくすぶる中、沈氏は市民の声に耳を傾けるボトムアップの選挙活動を展開。変化を求める市民の受け皿になり、「洋流」ブームを巻き起こしている。
■総統ポストの登竜門
台北市長は総統ポストの登竜門といわれる。蒋氏は、蒋介石・元総統のひ孫(諸説あり)とされ、将来の総統候補として期待される国民党のホープだ。
蒋氏は、名門高校の台北市立建国高級中学、国立政治大学の外交学系と法律学系を卒業し、米国のペンシルベニア大学で法学修士と法務博士を取得した。カリフォルニア州で弁護士を務めた経歴がある。
16年に台北市第3選挙区(中山・北松山区)で立法委員に当選し、20年に再選。22年に史上最年少で台北市長に当選した。
■松山空港移転構想でAI都市へ
蒋氏は市政運営の実績として、台北大巨蛋(台北ドーム)の開業や、AI(人工知能)向けグラフィックスプロセッサー(GPU)大手、米エヌビディアの台湾本社誘致などをアピールしている。これに対し、歴代市長の取り組みの成果だ、台北市政府だけで成し遂げたことではないなどと批判する声も上がっている。

蒋・台北市長は、中央政府と協力して松山空港移転構想を進めたいと述べた(台北市政府リリース)
蒋氏は10月8日、台北松山空港の空港機能を移転し、跡地にAI産業園区や住宅、緑地などを整備する構想を発表した。しかし、松山空港は軍民共用空港で安全保障に影響が出ないのか、離島の救急搬送はどうするのか、東京への行き来が不便になるなどと懸念する声が相次いだ。これまでの市長在任期間中に、なぜ移転構想を推進しなかったのかと疑問視する声も上がった。
このほか、台北市内湖区での豪雨時の冠水や、学校給食での食中毒疑いなど、市民生活に直結する問題が相次いだ。こうした問題への対応や危機管理の不備も支持率低下の原因と指摘されている。
■中国が「台湾独立分子」に指定
対抗馬の沈氏も、同じ台北市立建国高級中学を卒業した。国立台湾大学法律学系を卒業し、弁護士資格を取得。国立台湾大学で刑事法学修士号を取得し、米国ペンシルベニア大学で修士号、カリフォルニア大学アーバイン校で犯罪学の博士号を取得した。
17年に台湾に戻り、国立台北大学の犯罪学研究所で助理教授を務め、23年に所長に就任した。
沈氏は長年、中国の台湾に対する認知戦や情報操作を研究し、21年、民間防衛を推進する社会団体、黒熊学院(クマアカデミー)を共同で設立した。24年、中国当局から「頑迷な台湾独立分子」に指定された。
24年の立法委員選挙で、民進党の比例代表の候補者名簿に登載され、初当選して政界入りした。

沈氏は22日、選挙公約をまとめた冊子「順報」第2号を市民に手渡した(沈氏フェイスブック)
■ネットとリアルで市民と交流
沈氏は公約として、韓国ソウルの事例を参考に、AI活用や交通、社会福祉、産業発展などの長期的な都市発展計画の策定を支援する行政法人台北研究院の設立を掲げている。
選挙活動では、市民の声を拾い上げるため、「市長你給我聴好了(市長、聞いてくれ)」というオンラインプラットフォームを開設したほか、対面イベントを開催するなど、市民と直接交流する機会を設けている。

沈氏はアニメやゲーム好きとしても知られ、『ジョジョの奇妙な冒険』などのセリフを引用することもある。こうした親しみやすい一面も、支持を広げる一因となっているようだ。
ワイズメディア 林珮真
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722