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裕隆とGM、協力体制にひび


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2007年9月19日_記事番号:T00002747

裕隆とGM、協力体制にひび

 
 裕隆汽車集団と米ゼネラル・モーターズ(GM)による中国市場開拓に向けた協力体制にひびが入ったもようだ。上海通用(GM)汽車は、モデルチェンジタイプの設計を裕隆が行ったビュイック・エクセル(凱悦)が台湾市場で販売低迷が続いていることから、今後裕隆の設計を採用せず、独自に新車モデルを開発していくことを決めた。裕隆集団にとって、中華汽車工業と米クライスラーによる合弁販売会社設立計画の白紙化に続く中国市場展開の頓挫で、米企業と組んで中国で利益を上げる戦略は見通しに暗雲が立ち込めている。19日付経済日報が報じた。
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ビュイック・エクセル(裕隆通用汽車提供)
 
 ビュイック・エクセルのモデルチェンジタイプは、裕隆集団傘下の慶齢設計センターを中心に開発され、昨年末に台湾市場で発売された。しかし、同社の関係者によると、現在単月販売台数は約50台と落ち込んでいる。

 上海GMにとって「凱悦」は大量販売を狙う主力車だが、同社は最近トヨタなど日系の追撃に遭って業績が落ちている。このため、モデルチェンジには高い期待をかけており、より中国のドライバーの好みにあったものにするため、台湾バージョンの不採用と自主開発を決定した。同社は傘下の泛亜設計センターを通じて別モデルを開発し、年内に中国で販売を始める方針だ。

 裕隆とGMは2005年7月に提携し、裕隆通用汽車を設立した。裕隆がかつて独自のモデルチェンジを加えたセフィーロやセントラ、風神2号、風神3号などは中台それぞれの市場で好販売を記録しており、GMは同社の「華人の嗜好(しこう)を熟知したアドバンテージ」に魅力を感じ、台湾市場でのGM車の販売増、そして、中国市場に合った製品の開発に期待をかけた。 

 しかし、台湾でGM車の販売は伸びず、今回上海GMによる裕隆設計の不採用が決まったことで、GMは裕隆との提携メリットに疑念を抱く可能性がある。 

 台湾での成功体験を中国に移植することで、米2社の中国市場開拓で鍵となる役割を果たすことを期待していた裕隆にとっても、今回はその構想が崩れたことを意味する。台湾のある自動車メーカーは、「エクセルの開発コストだけでも十数億元に上ったはず」と指摘する。上海GMの不採用によって、裕隆は1社で開発費の負担を背負うことになりコスト圧力はますます大きなものになりそうだ。

台湾メーカーは不必要?

 2000年に多くの海外大手自動車メーカーが台湾に研究開発(R&D)センターを設けたが、7年後の現在、操業しているのはわずかに過ぎず、その機能は中国に取って代わられた。裕隆の事例から見て、海外の自動車メーカーにとって、中国市場開拓に当たっての台湾自動車メーカーとの提携は、もはや必要性が失われているようだ。