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タイ洪水、台湾メーカー受注増も


ニュース その他分野 作成日:2011年10月17日_記事番号:T00033166

タイ洪水、台湾メーカー受注増も

 17日付経済日報によると、深刻な洪水被害で工場の操業停止に見舞われたタイの日系メーカーが、従来より関係が良好で地理的にも近い台湾メーカーに発注先を変更する可能性が出ている。特に自動車部品、デジタルカメラ、ハードディスクドライブ(HDD)などで受注が増えそうだ。


市街地が水没したアユタヤ県。影響は観光業界にも及び、台湾出発のタイツアーは約2割が取り消された(中央社)

 トヨタ車生産の国瑞汽車は、トヨタは部品調達先が特定企業に偏り過ぎないよう、タイのサプライチェーンの再構築を検討していると指摘した。国瑞汽車は部品メーカーと協力して、部品受注の商機を狙っている。これにより、自動車部品最大手の東陽実業や、自動車用ランプの大億交通工業製造、シャーシの江申工業などに受注が見込まれる。

 光学機器業界の関係者は、日本のデジタルカメラ産業は東日本大震災に続き、ニコンやソニーのタイ工場が被災し、サプライチェーンで供給不足が起こっていると指摘した。操業再開の見通しが立たない中、ニコンの受託生産を手掛ける佳能企業(アビリティ・エンタープライズ)や華晶科技(アルテック)、ソニー製品を組み立てる鴻海科技集団(フォックスコン)が受注拡大のチャンスをうかがっているという。デジカメの機種ごとに必要な認証は取得まで3カ月~半年かかるため、台湾メーカーに短期内で大きな変化はないが、長期的には必ず受注が増えるとの予測を示した。

 ハードディスクドライブ(HDD)世界2位の米ウエスタンデジタル(WD)などが進出するタイ中部アユタヤ県のバンパイン工業団地も浸水被害に見舞われた。世界的な供給不足が起きることが予想され、世界最大手の米シーゲイトに受注が集中すれば、同社に部品を供給する鈺徳科技(ユーテック・メディア)の受注も増えそうだ。業界関係者は、HDDのサプライチェーンが完全に復旧するまでに既存の在庫がなくなる恐れがあり、11月末から12月初旬に価格上昇が引き起こされる可能性があると予測した。

台湾系5千社、一部に被害

 経済部投資業務処によると、タイに工場を構える台湾企業は5,000社以上に上る。HDD部品など受託生産の銘異科技は現在判明している中で最も被害が大きく、倉庫1階に保管していた在庫製品や機器、クリーンルームの設備などが冠水し、損失は11億7,000万台湾元(約30億円)と予想される。同社は水が引くまで2〜3カ月の間、生産を停止しなければならないとしている。

 タイ政府は16日、7月末以来で930の工場に被害が及び、損失は1,500億タイバーツ(約3,800億円)に上るとの試算を明らかにした。大部分を占めるのが自動車部品や電子関係の工場で、回復には10カ月かかると見通しを示した。また、海外自動車メーカーのサプライチェーンが多いため、タイ国外への部品供給も絶たれると指摘した。

【表】