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電動バイク販売急増、ガソリン高で


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2012年4月9日_記事番号:T00036415

電動バイク販売急増、ガソリン高で

  電動バイク販売が好調だ。1~2月の月平均400台から3月は3倍近い1,141台に急増した。中央・地方政府による補助金支給、環境保護意識の高まりに加え、4月初めのガソリン値上げが後押しした。市場シェア7割以上の中華汽車工業(チャイナ・モーター)は、この1週間で販売店からの問い合わせが大幅に増え、最高で1日30台以上が売れたという。通年の台湾市場規模は昨年の2倍近い1万5,000台が見込まれている。9日付蘋果日報などが報じた。


統計によると、台湾のバイク利用者は通勤を中心に1日平均10~15キロを乗る。中華汽車は「e-moving」がピッタリとアピールしている(リリースより)

 中華汽車は新ブランド「グリーントランス」から2010年6月に発売した電動バイク「e−moving」(1,350ワット、50㏄に相当)に続き、今年3月初めに「e−moving plus」と「e−moving漾」(ともに1,600W、80㏄に相当)を追加したばかり。同社の電動バイク販売台数は今年1月の400台、2月の234台から、3月は一気に628台まで増えた。劉興台総経理は、エコ意識向上で電動バイクの認知度が高まり市場規模も年々拡大しているが、急増の直接の原因はガソリン大幅値上げと指摘した。同社は年内に100㏄相当の新車種を追加し、製品ラインアップを充実させる計画だ。 

 ガソリン高に加え、中央、地方政府の購入補助でお財布に優しくなっていることも消費者の電動バイク購入意欲を支えている。中華汽車の「e−moving plus」の価格は6万6,000台湾元(約18万円)に上るが、買い替えの場合、経済部工業局の補助1万元に加え、2ストロークエンジンからの乗り換えなら環境保護署(環保署)からの3,000元、桃園県民なら県政府の1万5,000元が支給され、実際の負担額は3万8,000元へと4割引相当まで下がる。なお、地方政府の補助金は県市によって新規購入・買い替えごとに異なる。また、工業局の補助金額は来年引き下げられ、その後は打ち切られる予定だ。

 販売店によると、電動バイクは充電6~8時間で42キロメートル走行でき、電気代は3元しかかからないため、1元で14キロ走行できる計算だ。一方、ガソリンの燃費は1元で1.5キロ。電動バイクなら年間で1万元ほど節約できるというバイク利用者の声もある。

輸出も視野、日本・欧州など

 台湾市場全体の電動バイク販売台数は4月も1,000台規模を維持し、2,000台に届く可能性もあるとみられている。劉・中華汽車総経理は、同社の通年販売は前年比66%増の1万台に達し、台湾市場シェア80%の目標に近づくことができるとの予測を示した。電動バイク使用のインフラ整備が進めば、販売目標を上方修正する可能性もある。

 また中華汽車は昨年初めて、他社ブランドの受託生産で電動バイクの欧州向け輸出を果たしており、今年は自社ブランドで日本などに2,000台以上輸出する考えだ。

 バイク大手3社、光陽工業(KYMCO)、台湾山葉機車工業(ヤマハモーター台湾)、三陽工業(SYM)も乗り遅れず、いずれも電動バイクを発売している。KYMCOの柯俊斌副総経理は、特に欧州市場に商機を見込んでおり、政府の調達商機をつかむことで、今年の輸出台数は30万台を超えると予測した。

【図】