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中華汽車、三菱完成車を初輸出


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2012年9月7日_記事番号:T00039260

中華汽車、三菱完成車を初輸出

 裕隆企業集団の中華汽車工業(チャイナ・モーター)は6日、台湾で組み立てた三菱自動車のセダン「ランサーフォルティス(日本名・ギャランフォルティス)」の第1陣を中東市場に向け輸出した。中華汽車にとって三菱ブランドの完成車輸出は初めて。今年1,000台、来年3,000台と輸出台数を増やし、3年目に1万台が目標だ。達成できれば、車種の追加や輸出先の拡大など両社の提携関係がさらに進展する見通しだ。7日付経済日報などが報じた。


厳凱泰・裕隆集団執行長は三菱との提携拡大について、「メイドイン台湾」が世界に認められた証拠だと述べた(6日=中央社)

 三菱自は円高を受け、中華汽車に中東6カ国(クウェート、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーン、レバノン)向け1,800台を発注し、最初の1,000台に関して6日台北港(新北市八里区)で出港記念式典が行われた。

 春成敬・三菱副社長は式典で、三菱は中東市場向け輸出が年間10万台に達したこともあったが今や3万台まで減っており、中華汽車との提携によって競争力を高め、輸出規模を拡大してかつての栄光を取り戻したいと語った。

 また、年間数千台規模にとどまるのなら、規模の経済の観点から中華汽車に生産を委託する必要はないと述べ、発注規模の拡大を前提に考えていることを示した。

 その上で、日産自動車が韓国やインドに生産を委託して輸出規模を拡大しているほか、トヨタ自動車が中東市場からの受注分をすべて台湾の国瑞汽車に生産させて受注台数を年間2万台足らずから今年6万台まで増やす見通しで、台湾は日本にとって輸出を拡大する上での最適なパートナーだと期待感を示した。

 中華汽車の劉興台総経理は、中東市場の規模は120万台と台湾市場の3倍以上で、今回受託生産するランサーフォルティス1.8は中東市場で最も需要のあるグレードだが現地で展開するランサーシリーズに欠けていたため、中華汽車の生産台数を大きく伸ばす効果が期待できると語った。

コスト1~2割減

 ランサーフォルティスは、国瑞が受託生産して輸出しているトヨタのアルティスと海外で激しく競争を繰り広げている代表車種で、価格が競争力に直結する。台湾生産の品質は日本に迫っている上、中華汽車によると生産コストも日本で生産するより1~2割抑えることができる。このため、中東市場で一定以上のシェアを獲得できれば、中華汽車は三菱の海外生産拠点としての地位がますます固まるはずだ。

 三菱は中東市場で現地工場を建てたこともあったが、今回の中華汽車への生産委託など生産体制の立て直しを図っており、世界110万台のうち海外生産が50万台を占める。

台湾市場、金融危機よりまし

 裕隆集団の厳凱泰執行長は、景気低迷は世界金融危機が発生した2008年ほどはひどくならないと述べ、今年の台湾市場規模の予測は36万台から下方修正しないが、裕隆集団は海外展開によって台湾市場の持っていた影響力が縮小する傾向だと語った。