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日亜化学がエバーライトに宣戦布告、LED特許紛争


ニュース 電子 作成日:2013年9月14日_記事番号:T00045918

日亜化学がエバーライトに宣戦布告、LED特許紛争

 日亜化学工業は13日、台北市で記者会見を開き、台湾発光ダイオード(LED)パッケージング(封止)大手の億光電子工業(エバーライト・エレクトロニクス)が日亜化学の特許に無効審判の請求を繰り返しており、今後同社による製品への権利侵害に徹底的な法的措置を取ると表明した。比較的静かだった従来の姿勢から徹底抗戦を挑む方針に転換したもので、エバーライトへの「宣戦布告」と受け止められている。14日付工商時報などが報じた。


芥川本部長。台北での記者会見開催は、両社の紛争のヒートアップを感じさせた(13日=中央社)

 記者会見には、芥川勝行・法知本部長と高木宏典・法知本部知財部長が渡台して出席した。芥川本部長は、エバーライトが日本の特許庁に日亜化学の青色LED特許、JP2780691の無効審判を請求し、特許庁が無効と判断したとのリリースを8月下旬に発表したことについて、日亜化学は特許庁を相手取り、無効審判の取り消しを求める訴訟を提起しており、確定していないと説明した。そして、同リリースは日亜化学の顧客に「日亜化学の特許は価値がない」という誤解を与えかねないと問題点を指摘した。

 また、エバーライトが日亜化学の特許に無効認定を求めて起こした訴訟▽日本、22件▽中国、4件▽ドイツ・台湾、それぞれ1件──の計28件のうち、エバーライトが有利な判断を受けたのはJP2780691の1件のみだと強調した。

 日亜化学はさらに、エバーライトの6製品が同社のYAG特許を侵害した件については、9月3日に独デュッセルドルフ地裁が日亜勝訴の判決を下し、エバーライトに製品の差し止めと損害賠償を命じる判決を下していると付け加えた。

 芥川本部長は、日亜化学は2002年までに▽豊田合成▽米クリー▽独オスラムグループ──などと争った50件以上の特許訴訟で、ライセンス供与やクロスライセンス契約、提携関係の構築などで和解を進めたものの、エバーライトは無謀な特許無効審判の請求を繰り返しているため、現段階でエバーライトとの和解は考えていないとした。

エバーライト、「立場変えない」

 一方エバーライトの広報担当者は、「顧客や株主の権益を守るため、知的財産を尊重する立場は変えない」と述べ、従来の姿勢を今後も続ける考えを示した。

 LED需要は年々拡大しており、台湾にとっても発展産業だが、多くの特許を日米独が握っており、台湾封止メーカーは特許が切れるまでは権利金を払う以外の選択肢がない。業界関係者はエバーライトの「勇気を讃える」として、最大手のエバーライトさえ日亜化学に対抗できないようでは、台湾メーカーは受託生産しかできないとの見方を示した。市場調査会社、LEDインサイドのアナリストは、時間はかかるが、もしエバーライトによる特許無効請求が認められれば、同社だけでなく同業他社も恩恵を受けると語った。

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