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中国人ツアー客4割減、中国旅行法改正が観光業界直撃


ニュース 商業・サービス 作成日:2013年10月2日_記事番号:T00046200

中国人ツアー客4割減、中国旅行法改正が観光業界直撃

 中国政府が1日、「中華人民共和国旅遊法(中国旅行法)」を改正し、旅行会社に対し、不合理に価格の低いツアーの催行や、特定の商店での買い物強要および別途料金の発生するオプショナルツアーの実施を禁止した。これにより中国から台湾へのツアー料金が25~50%ほど上昇したため、今年は国慶節連休(今年は1~7日)の訪台中国人ツアー客が4割減少する見通しだ。ただ、ツアーの質が改善されることで、長期的にはプラス効果が期待される。2日付工商時報などが報じた。

 今回の改正は、旅行者の権益保護を目的に、オプショナルツアーや買い物場所の指定による、キックバックなどの不正な利益を得ることを禁じるなど低価格ツアーを催行していた旅行会社を取り締まるものが含まれ、違反業者には罰金を課し、深刻な場合は営業停止処分とする。

 これにより、キックバック収入などを見越したツアー料金を設定していた旅行会社が、その分を上乗せしたため、今年の台湾8日間ツアー料金は7,480人民元(約12万円)と昨年の5,980人民元から25%の値上げとなった。台湾だけでなく▽ソウル・済州島5日間、6,880人民元(前年比77.3%上昇)▽オーストラリア10日間、2万3,000人民元(同64.3%上昇)▽北海道6日間、1万800元(同35%上昇)──など軒並み大幅値上げとなった。

 国慶節連休は本来台湾観光業界にとって中国人ツアー客の書き入れ時だが、交通部観光局の統計によると、昨年(9月30日~10月7日)の3万3,927人から、今年は連休期間が1日短いこともあるが、4割減の2万157人まで落ち込む見通しだ。

 国慶節連休初日のきのう、中国人に人気の高い観光地の日月潭、阿里山などではツアー客の激減が見られた。日月潭では例年1日当たり中国人ツアー50組余りが遊覧船を利用するが、今年はわずか20組に減少。阿里山では、通常の観光客総数6,000人が3,000人に減少した。


日月潭は1日、閑散とした様子だった。周辺のレストランでは中国人ツアー客が3分の2に減少したという(1日=中央社)

 高雄市旅行商業同業公会の沈本立理事長は、10月のツアー客は3~4割減少すると予測。宿泊客の6割を中国人ツアー客が占める桃園大飯店(桃園市)は、10月の客室稼働率は前年比で2割下落するとの見通しを示した。

 最も影響が大きいとみられるのは、サンゴ、翡翠などの宝飾品店だ。観光局の統計によれば1日の来客数は前年比2割減少した。一部店舗では10月以降中国人ツアーの予約が半減しているという。

低価格競争の減少期待

 業界関係者からは、国慶節連休期間のツアー客の減少は顕著であるものの、長期的にはプラス効果を生むとの見方が出ている。観光局は、台湾も5月から質の良いツアーに台湾地区出入境許可証(入台証)を優先発行するなど「量より質」の政策をとっていることもあり、低価格競争が減少し観光市場全体の品質向上につながると指摘した。

 買い物などに当てられていた行程が、今まで立ち寄りの少なかった淡水、九份や烏来、鹿港などの観光地に振り替えられることも見込まれる。

自由旅行が人気に

 団体ツアーが値上げされたことで、自由旅行が注目を集めている。台湾8日間であれば5,000人民元ほどと、ツアー料金との価格差が大きくなったためだ。

 台湾は11年6月に中国人による自由旅行を解禁。同年は3万281人にすぎなかった自由旅行者数が対象住民を徐々に拡大してきたこともあり、昨年は延べ19万1,148人、今年は9月15日までに31万1,688人に上った。自由旅行は今後、さらなる伸びを見せることは確実とみられる。 

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