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ASUS、人民元下落で為替差益9割減


ニュース 電子 作成日:2014年5月8日_記事番号:T00050213

ASUS、人民元下落で為替差益9割減

 華碩電脳(ASUS)が7日の業績説明会で発表した第1四半期純利益は前期比23%減、前年同期比28%減の43億6,200万台湾元(約148億円)で、1株当たり利益(EPS)は5.87元と過去11四半期で最低となった。今年1月下旬から人民元が対米ドルで3.15%下落したことを受けて、リスクヘッジの失敗によって為替差益がわずか4,000万元と前年同期比で96%減少したことが打撃となった。証券会社は、ASUSだけでなく多くの企業が抱える問題と指摘。特に人民元建て売り上げが多い企業は、為替差損で赤字転落も懸念されるとの見方を示した。8日付工商時報などが報じた。

 張偉明ASUS財務長は、第1四半期は人民元が大幅に下落したが、台湾元、ユーロの上昇により、黒字を確保できたと分析した。

 証券会社は、台湾の電子受託生産企業は、人民元下落による収入減のリスクをはらんでいるが、中国の工場では、従業員の給与を含む人民元建ての生産コストで恩恵を受ける面もあると説明した。

 なお、ASUSの第1四半期連結売上高は1,002億6,500万台湾元(約3,400億円)と、前期比16%減、前年同期比5%減だった。

スマホに自信、小米に勝つ

 一方、業績説明会では今後の見通しも発表した。ノートパソコン、デスクトップPCの出荷目標は毎年15%成長、17年には倍増の5,000万台を目指す。業界首位の聯想集団(レノボ)への挑戦を宣言した格好だ。

 超低価格の「Zenfone」販売が好調なスマートフォンについては、今年の出荷目標を当初の500万台から500万~1,000万台へと上方修正。16年には出荷台数3,000万~4,000万台、世界シェア3%以上の獲得に期待をかける。Zenfone発売当初は台湾の販売価格が中国より高いと批判を浴び謝罪を迫られたが、台湾の価格を引き下げることで事態は終息。5、6月は台湾市場で販売シェア2位も狙えるとみている。Zenfoneはシンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムでも販売を開始し、反響を呼んで追加受注が相次いでいるという。同社は中国市場で人気を誇る新興スマートフォンメーカー、小米科技(小米、シャオミ)を意識しているが、沈振来執行長は、PC販売で培った販路、世界的な知名度ではASUSが優勢との見方を示し、「中国以外では小米に勝てる」と自信をのぞかせた。

 Zenfoneは第2四半期中にインド、ブラジル、ロシアでも投入する予定で、スマートフォン事業は第4四半期にも損益均衡ができるとみている。17年にはスマートフォン、タブレット型PCを合わせたモバイル端末の売上高がPCを上回ると予測している。 

【図】【表】