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中小企業の賃上げ、法人税控除で支援


ニュース その他分野 作成日:2014年6月13日_記事番号:T00050926

中小企業の賃上げ、法人税控除で支援

 中小企業が台湾人従業員の賃上げを行った場合、賃上げ支出の130%を限度に営利事業所得税(法人税)の税額控除を申請できる内容の「中小企業発展条例」改正案が12日行政院会(閣議)を通過した。9月からの次期立法院会期での成立、来年からの施行を目指す。経済部は中小企業の3分の1に当たる約43万社が呼応すると楽観的な予測を示しているが、中小企業の経営者からは効果は薄いとの声が上がっている。13日付聯合報などが報じた。


張経済部長は勤労者約280万人の賃上げが期待されるとの見通しを示した(12日=中央社)

 同改正案は特に不景気時の賃上げ促進を図ることを目的としており、当該年度の経済成長率、失業率、景気対策信号などの経済指標が一定水準以下の場合を実施条件としている。対象となる企業の条件は、製造業、建設業、鉱業、土石採掘業の場合、▽払込資本金、8,000万台湾元(約2億7,000万円)以下▽雇用者数、200人未満──、その他の業界では▽前年度の売上高、1億元以下▽雇用者数、100人未満──で、大企業には適用されない。また、対象となる従業員は中華民国国籍を有する経理クラス以下に限定されており、外国人は対象外だ。

 江宜樺行政院長は、台湾の中小企業は約130万社(全体の97.67%)、従業員数約850万人(78%)で台湾の経済発展に多大な貢献をしていると説明。物価が上昇して賃金引き上げが課題となる中、中小企業の従業員の給与底上げを図る重要な改正案だと強調した。

 中華経済研究院(中経院、CIER)の呉中書院長は、同改正案で賃上げが促進されれば、消費支出の伸びが期待でき、経済成長にプラスに働くとの見方を示した。

企業は模様眺め

 一方、同日付蘋果日報の試算によれば、年間売上高が2,000万元、対象従業員の給与コストが500万元の企業で5%の賃上げを行った場合、同改正案による減税額はわずか9,700元で効果が疑われる。このため、対象となる中小企業は、現段階で模様眺めの姿勢のようだ。

 中華民国全国中小企業総会の林慧瑛理事長は、同改正案は賃上げを予定していた企業にとっては有益だが、そうでない企業にとっては必ずしも賃上げ誘因にはならないと強調した。また、陳瑞宏副理事長も、企業は個人の業績に基づき不定期に賃上げを行うなど、利益を得られてこそ賃上げできると指摘。中小企業経営者からも「税控除が企業の利益にどれだけ貢献するのか」との疑問の声と、ボーナスなどで従業員を鼓舞するほうがよほど企業の成長に効果があるとの見方が出ている。

 こうした指摘に対し、杜紫軍経済部次長(次官)は、節税効果は確かに小さいと認めたものの、政府による賃上げへの取り組みを知らせる効果があり、多くの企業が賃上げに応えてほしいと訴えた。