ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

TSMC不眠不休で10ナノ開発、16年量産へ


ニュース 電子 作成日:2014年6月25日_記事番号:T00051147

TSMC不眠不休で10ナノ開発、16年量産へ

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長は24日、10ナノメートル製造プロセスの研究開発(R&D)を3交代24時間体制で行い、早ければ1年後に重要顧客の製品をテープアウト(設計完了)、2016年に量産すると述べた。先進プロセス競争は今月14ナノ採用製品を発表したインテルがTSMCをリードしているが、10ナノでは何としても先行する意気込みだ。25日付経済日報などが報じた。


張董事長は83歳と高齢ながら、株主総会後の1時間以上にわたる記者会見に立ちっぱなしで回答し、元気な姿を見せ付けた(24日=中央社)

 インテルは自社プロセッサー生産、TSMCはファウンドリーと立場に違いがあるものの、TSMCは10ナノを「負けられない一戦」と位置付けているようだ。

 同社広報担当者は同日の株主総会で、日勤、準夜勤、深夜勤が8時間ずつ交代勤務し、10ナノプロセスの研究開発を24時間切れ目なく行う「夜鷹計画」で学習曲線を短縮すると説明した。同社は、従来エンジニアは日勤とはいえ深夜まで仕事が終わらず、夜間に工場で製造プロセス上の問題が発生すれば帰宅後も電話が鳴り、労働時間が長過ぎたとも説明した。

 業界では、これまで深夜12時まで残業していた状況が改善できるが、夜勤で2年契約のエンジニアを300人以上集めるのは容易でないとみられている。聯華電子(UMC)も14ナノ以降の研究開発を加速するため、南部科学工業園区(南科)の研究開発本部で夜勤のエンジニアを募集している。

16ナノ、モバイル需要を楽観

 張董事長は、TSMCの16ナノ立体構造トランジスタ(FinFET)プロセスは、サムスンの14ナノに生産能力、生産力だけでなく、顧客の信頼度でも大きく勝ると強調した。インテルはパソコン用プロセッサーがターゲットなので、モバイル端末用チップでTSMCの競合にならないと指摘した。PC市場は飽和状態だが、スマートフォンやタブレットPCは中国、インド、南米などで急成長しており、市場が飽和に達するまでまだ数年かかると述べた。

 TSMCは昨年16ナノFinFETプロセスを試験生産しており、現在は工場を拡張中で、来年第1四半期に量産する計画だ。

 外資系証券会社のアナリストは、TSMCは16ナノFinFETプロセスでアップルの次世代プロセッサー「A9」の過半を受注できると予測。今後1年は、予想以上に人気の高い20ナノとの生産バランスに悩まされると指摘した。

年内フル稼働

 張董事長は、今は過去4~5年の投資の成果が表れており、今後も同社の市場が拡大し続けるとの見方を示した。今年第2四半期の業績は非常に良く、第3、第4四半期の設備稼働率は100%に達していると話した。今年の業績は昨年以上、2桁成長を予測。今後5年は半導体の世界市場が3~5%成長する見込みだが、同社は過去27年のうち25年の業績の伸びが世界平均以上だったと語った。