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復興航空機墜落48人死亡、着陸強行に批判も


ニュース 運輸 作成日:2014年7月24日_記事番号:T00051722

復興航空機墜落48人死亡、着陸強行に批判も

 高雄発馬公(澎湖県)行きの復興航空(トランスアジア・エアウェイズ)の旅客機GE222便(ATR72型)が23日午後7時8分ごろ、馬公空港の滑走路1キロメートル手前で墜落、乗客・乗員合わせて48人が死亡、10人が重傷で県内の病院に搬送された。台風10号(アジア名・マットゥモ)の悪天候の中での事故で、航空当局は現場から回収したブラックボックスを基に詳しい事故原因を究明する方針だ。24日付蘋果日報などが報じた。


大破した機体が強い衝撃を物語る。墜落時には現場で大きな爆発の炎が上がったという(23日=中央社)

 同便は高雄空港を午後4時に離陸、馬公空港に午後4時35分到着の予定だったが、台風で出発が午後5時43分に遅延していた。午後7時6分、機長より管制官に着陸の連絡が入ったものの失敗。「飛行を継続する」という連絡を最後に通信が途絶え、午後7時8分、同県西渓村の集落付近に墜落した。満席の同機の乗客は54人で、フランス国籍2人、香港籍1人の他は台湾人で帰省客や観光客がほとんどだった。日本人は含まれていなかった。なお、墜落現場付近の住民5人も軽傷を負った。

「着陸基準満たしていた」=民航局

 気象局は、同日午後4時以降、帯状の降雨帯が澎湖島と台湾本土の間にとどまり現地の天候は不安定だったと指摘。事故当時は風雨が強まり、雨量は1時間約30ミリメートル、最大瞬間風速は時速52キロメートル以上だったと説明した。一方、交通部民用航空局(民航局)も、事故当時、雷雨により視界は800メートルほどで、機長らは滑走路が判別できなかったとの見方を示した。悪天候の中、着陸を強行した復興航空には非難の声が上がっている。しかし民航局は、悪天候ではあっても同機は着陸基準に達していたと説明した。

 独立行政法人の飛航安全調査委員会(飛安会)は23日夜からの捜索活動で事故機のブラックボックス2個を回収しており、解析した上で事故が天候によるものか、機械の故障か、または人為的ミスかの究明を進める。

12年ぶりの乗客死亡事故

 台湾の航空会社による乗客の死亡事故は、2002年5月に中華航空(チャイナエアライン)桃園発香港行きが澎湖島上空で空中分解し、乗客乗員全225人が犠牲になって以来12年ぶりとなった。台湾域内便に限れば、97年8月の国華航空(99年に華信航空と合併)の台北松山発馬祖行きの便が馬祖で墜落して16人が死亡した事故までさかのぼる。

 民航局は今年5月、台湾の航空機の過去10年の全損事故率(0.17回)が世界平均を下回り、過去20年で最も改善したと発表したばかりだった。しかし今回の事故によって、台湾の航空機は決して安全な乗り物ではないことが改めて証明されてしまった。


事故を起こした復興航空ATR72型の同型機
(23日=中央社)

 なお、事故機はターボプロップ機「ATR72型」だ。復興航空の同機種は過去19年に8回もの事故を起こしており、このうち95年1月には桃園県亀山郷で山腹に激突して乗員4人が死亡、02年2月にも貨物機が澎湖近海に墜落してパイロット2人が死亡した。

損害賠償1人1千万元以上

 復興航空の航空保険は国泰世紀産物保険(キャセイ・センチュリー・インシュランス)を中心に、台湾域内の損害保険会社8社が担っており、業界関係者は航空機保険に関しては1,000万米ドルが支払われると試算した。ただ、航空保険はリスクが高いため、これら損保は海外の再保険会社と再保険契約を締結しており、台湾損保業界の支払額は300万米ドルほどとみられている。一方、乗客への賠償責任保険については、少なくとも1人当たり1,000万台湾元(約3,400万円)に上ると予想されている。

Vエアー就航に影響説も

 復興航空は今年9月に台湾初の格安航空会社、威航空(Vエアー)の就航を目指しているが、今回の墜落事故がVエアーの計画に影響しないか注目されている。24日午前に事故の謝罪会見を開いた徐以聡同社総経理は、「Vエアーに関することを復興航空からコメントすることはない」とのみ話した。