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復興機墜落事故、「空軍に責任」=壱週刊


ニュース 運輸 作成日:2014年7月30日_記事番号:T00051833

復興機墜落事故、「空軍に責任」=壱週刊

 23日に発生した復興航空(トランスアジア・エアウェイズ)旅客機墜落事故について、有力週刊誌の壱週刊(最新号)は、機長が天候不良により、空軍が優先利用している着陸誘導システムを備えた滑走路への着陸変更を求めたにもかかわらず、空軍側が拒否したことにより、48人の犠牲者を生む大惨事につながったと報じた。事実であれば、空軍が変更を認めていれば墜落事故は起きずに済んだ可能性がある。


29日には初七日の法要が営まれ、遺族の他、江宜樺行政院長も参列して犠牲者を悼んだ(29日=中央社)

 事故当日は台風10号(アジア名・マットゥモ)が台湾を直撃。台風は午後には中国に移動していたものの、天候は不安定で、午後6時すぎに馬公空港上空に到着した事故機は、強い風雨のため上空を旋回していた。当時立栄航空(ユニー航空)と遠東航空(ファーイースタン・エア・トランスポート)の旅客機も同様に着陸のタイミングをうかがい旋回中だった。

 ただ、一向に視界が良くならないため、3機の機長はそれぞれ予定していた空港北側の20番滑走路から、空港南側にあり空軍が通常使用している2番滑走路への変更を管制塔に申請した。2番滑走路には視界が悪いときでも指向性誘導電波を発射し、滑走路まで誘導する計器進入システム「計器着陸装置(ILS)」が設置されており、安全性が高いためだ。連絡を受けた管制官は、視界が悪いことを目視で確認し、至急空軍馬公基地に連絡をとったが、空軍側からは視界は基準の1,600メートルに達しているとしか回答がなかったため、管制官は機長らに変更の拒否を伝えたという。

 その後、立栄機は予定通り20番滑走路を使用して安全に着陸したが、続く復興機は墜落。遠東機はこれを受けて台北に引き返し、3機は明暗を分ける結果となった。

管制官と空軍、主張が対立

 野党民進党の段宜康立法委員は、事故当日、馬公基地は早々と軍機の離着陸中止を決めており、民間航空会社が空いている2番滑走路の使用を要求した際、なぜ拒否したのかと批判した。また、馬公空港の管制塔に気象情報を提供しているのは空軍馬公基地であり、管制塔に気象状況を判断する能力はないに等しいと指摘。同じ気象情報を利用している空軍が軍機の離着陸を停止したにもかかわらず、空港閉鎖に踏み切らなかった交通部民用航空局(民航局)は何を基準にしているのかと疑問を投げ掛けた。

 これに対し空軍側は、管制塔から連絡があったことは認めたものの、回答する前に管制塔側から変更要求の取り消しがあったと説明。さらに、もともと馬公空港の離着陸に関しては、軍機、民間機問わず民航局に決定権があり、管制塔が空軍に承認を求める必要はないと強調した。空軍の主張は馬公空港の管制官と対立しており、詳しい真相の究明が待たれる。

復興航空、離着陸基準を厳格化

 一方、復興航空は29日、台風通過後の域内線の離着陸に関する基準改定を発表し、離陸条件を目的空港の視界が同空港が定める着陸基準を50%以上を上回っている場合へと厳格化した。馬公空港の基準は視界1,600メートルのため、同社の今後の出航條件は2,400メートル以上となる。また、目的地の天候の変化で、上空で着陸のタイミングを図る場合は最長30分とし、できなければ出発空港に引き返すか、他の空港に着陸することを決めた。他社は追随しないことを表明している。

 復興航空は今後、悪天候の際に他社よりも欠航や遅延が多くなることは確実だが、事故を教訓に収益よりも安全第一の姿勢を打ち出した形だ。