ニュース 社会 作成日:2014年8月5日_記事番号:T00051947
高雄市の大規模爆発事故で、李長栄化学工業(LCYケミカル、栄化)への刑事責任を追及すべく捜査が本格化している。高雄地方検察署は4日夜、爆発現場の捜索を行い、地下下水溝の上部に敷設されている4インチ輸送管に28平方センチメートルの穴を発見した。検察はこの穴からプロピレンが漏れた疑いが濃厚とみており、LCYにとって不利な証拠となる可能性が強い。5日付自由時報などが報じた。
LCY大社工場。事件に向き合う同社の姿勢には不誠実との批判が集中している(中央社)
穴は横7センチ、縦4センチで、表面に厚さ0.2ミリの金属片が内側から外側にめくれた形で残っており、プロピレンを輸送した際の圧力で穴が開いたと推定できるという。4インチ輸送管はひどく腐食しており、保護剤のアスファルト塗膜がほぼ剥がれた状態だった。
検察はLCY大社工場と、プロピレンをLCYに送付した華運倉儲実業(CGTD)も捜索し、プロピレン送付に関連したコンピューターのデータを押収した。今後、両社の関係者から事情聴取を進める方針だ。
爆発現場の輸送管内には依然プロピレンなどが残留しており再爆発の懸念があるため、高雄市政府は4日、LCY、台湾中油(CPC)、中国石油化学工業開発(CPDC、中石化)の3社に窒素ガスで吹き飛ばす処理を求めたが、LCYが検察官から現場保存を求められる可能性を理由に拒否する一幕があった。検察がこの態度に激怒して結局作業を行うことになったものの、2日の記者会見で輸送管の管理責任はCPCにあったと指摘して責任転嫁と受け止められたことも含め、LCYは検察の心証をかなり害してしまっている。
爆発現場の捜索では、CPCとCPDCの輸送管も下水溝内に敷設されていたことが分かり、違法が疑われている。これについて張瑞宗CPC副総経理は、後から行われた下水溝工事の際に、下水溝内に入れられたのではないかと推論を述べた。
総統府など全土の行政機関は、高雄爆発事故と復興航空機墜落事故の犠牲者への哀悼の意を示すため、5日から7日まで半旗を掲揚する(5日=中央社)
「社会の目に配慮を」
LCYは事故から丸4日たった現在も操業を停止しておらず、これについても批判の声が上がっている。これはLCYが工場内で事故を起こしたわけではないため、行政側が操業停止を求める法的根拠がないからだ。しかし、陳金徳・高雄市環境保護局長は、LCYは社会に与える印象を考えて、自主的に操業を停止して捜査に協力するべきと呼び掛けている。
一部石化メーカー、減産に着手
5日付経済日報によると、LCYにプロピレン供給作業を行ったCGTDは、事故を受けてLCYを含む石化メーカー7社へのエチレン、プロピレン、ベンゼンなどの石化原料供給を停止した。
これによりLCYとCPDCは4日より減産を開始。LCYの減産幅はアクリロニトリルで15%、ポリプロピレンで37.5%に達しており、同社では1週間当たりの損失額は1億1,500万台湾元(約3億9,000万円)と見積もっている。
台聚集団(USIグループ)傘下の亜洲聚合(アジア・ポリマー)も、3本の生産ラインのうち生産能力3万トンの1本が停まり、減産幅は30%に達した。
一方、東聯化学(OUCC)、国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル、GPPC)は、主要原料のエチレンの在庫が十分なため減産の予定はないと説明した。
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