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アップルウオッチ売れ行き、供給網に不安感


ニュース 電子 作成日:2014年9月11日_記事番号:T00052638

アップルウオッチ売れ行き、供給網に不安感

 米アップルが9日発表した同社初の腕時計型ウエアラブル(装着型)端末「アップルウオッチ」に対し、他社製品と大差ないスペックながら349米ドルと高額なことから早くも売れ行きを不安視する声が上がっており、台湾のサプライチェーンに十分な利益がもたらされるかは観察が必要なようだ。11日付工商時報などが報じた。


アップルウオッチは3モデルあり、左から「スポーツ」、「基本モデル」、「エディション」で、アップルらしい洗練されたデザインだ(アップルリリースより)

 アップルウオッチは、発表会当日にサンプル機種で機能を試すことができないなど詳細は謎に包まれているが、現段階で明らかとなったスペックは先行している他社と大差がなかった。腕時計型端末市場にはサムスン電子をはじめ多くのメーカーが参入しているが、いまだヒット作が生まれていないのが現状で、同市場の起爆剤として注目を集めていたアップルウオッチに目新しさがない上、販売価格は台湾元換算で約1万台湾元(約3万6,000円)と、サムスンが10月に発売予定の「Gear S」で予測されている約8,990元、既に発売中のモトローラの「Moto360」(249.99米ドル=約7,500元)を上回っていることから、出荷予測の1,000万台を下回る可能性が指摘されている。

 その場合、組み立てを独占受注しているとされる広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、タッチパネルの宸鴻集団(TPKホールディング)などサプライチェーンも、期待していたほどには出荷が振るわないとみられる。その上、発売時期も来年と発表されたことからサプライチェーンの出荷ピークも来年第1四半期に後ろ倒しになるとみられ、今年の業績への貢献は望み薄となった。

鴻海、Q4に出荷ピーク

 一方、スマートフォン新機種、4.7インチのiPhone6と5.5インチのiPhone6プラスについては、販売を好感する見方が強い。年末までの平均出荷台数は毎月1,850万台との予測もあり、サプライチェーンの業績をけん引する見通しだ。アップルのプロセッサー「A8」を手掛ける台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した8月売上高は前月比6.7%増、前年同月比25.8%増の692億7,900万元と2カ月連続で過去最高を更新した。証券会社は、9月は718億元で再び過去最高を塗り替えると予測している。なお、TSMCはアップルウオッチのプロセッサーも手掛けているとの観測も浮上している。

 iPhone6の6割、iPhone6プラスの組み立てを独占受注したとされる鴻海科技集団(フォックスコン)の8月連結売上高は2,750億8,400万元(前年同月比1.91%減)で、2カ月連続で3,000億元を下回った。また、iPhone6の組み立てを鴻海と分け合ったとされる和碩聯合科技(ペガトロン)の8月連結売上高は651億300万元(2.26%減)と今年2番目の低い数字となった。

 TSMCと同じくサプライチェーンでありながら低調に終わったことについて証券会社は、鴻海やペガトロンはアップルサプライヤーの中でも川下のため、川上のTSMCより出荷時期が遅いと指摘。TSMCの売上高からみて、鴻海、ペガトロンは9月から業績が回復し、第4四半期は安泰との見方を示した。鴻海については、9月から出荷が伸び、11~12月に今年の出荷ピークを迎えると予測した。

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