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廃油ラード事件、強冠董事長を拘束


ニュース 食品 作成日:2014年9月15日_記事番号:T00052692

廃油ラード事件、強冠董事長を拘束

 食用廃油などを原料に使ったラード(豚油)が食品・飲食業界に出回った事件で、屏東地方法院検察署は13日、問題のラードを生産していた強冠企業(高雄市大寮区)の董事長、葉文祥容疑者(61)を詐欺および食品安全衛生管理法違反容疑で拘束した。強冠には香港から輸入した工業用ラードを10年以上にわたり食用油に混入させていた疑いが持ち上がっており、新たにモスバーガーや王品集団(ワン・グループ)傘下のコーヒーショップ、旺旺集団の傘下企業で強冠の非合法ラードが使われていたことも判明した。14日付中国時報などが報じた。


葉容疑者は、謝罪会見では自社製ラードを飲んで安全性をアピールしていた(中央社)

 葉容疑者は11日に謝罪会見を行った際は、調達担当で送検された同社副総経理の戴啓川容疑者(57)が独断で犯行に及んだと示唆していた。しかし、検察当局は、強冠が食用ラードを生産していない香港から毎年数千トンの工業用ラードを「食用」と偽って輸入していたことから、経営トップの関与がなかったとは考え難いとして厳しく追及する方針だ。

撤去・返金に追われる

 衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)のまとめによると、強冠が食品廃油を混入させて製造した「全統香猪油」は、13日までに台湾全土の食品・飲食業者の製品250種類で使われたことが分かった。強冠は「全統香猪油」以外に24種類のラード製品を製造しており、香港から輸入した工業用ラードを混ぜた疑いが持たれている。「全統香猪油」以外の強冠製品を使った食品は14日夜までに183種類が明らかになり、モスバーガーは強冠製品を使ったミートソースやカレーソースを「スパイシーモスバーガー」や「カレーカツバーガー」などに使用していたことが分かった。同社はこのため今年3月1日から9月5日まで対象製品を購入した消費者に対し、9月30日までレシート持参で返金に応じると発表した。

 王品集団傘下のコーヒーショップ「Fammon」では、セットメニューのトマト野菜スープでの使用が判明した。同社は今月9日に新たな製品に切り替えたと説明、同じく月末までレシート持参でセットメニューの料金を返却することにした。

 宜蘭食品工業は米菓「夾心酥捲」での使用が発覚し、既に5日に売り場から撤去したと表明。返品による損失は100万台湾元(約360万円)以上を見込んでいる。

 このほか、味丹企業(ベダン)のカップ麺「蔥焼牛肉湯麺」、ステーキハウス「フォルクス(沃克牛排餐庁)」のビーフソース、ベーカリー「幾分甜幸福城堡(ハウ・スイート)」の菓子パン類、広達香食品の豚肉フレーク(肉鬆)などへの使用も判明したため、撤去や交換、返金などの対応に追われた。


各地のスーパーマーケットでは12日、味丹のカップ麺など問題製品の撤去に追われた(中央社)

油脂追跡システム立ち上げへ

 事件により、食用油の管理の在り方が問題となる中、衛生福利部は14日、食用油脂のトレーサビリティーシステムを10月31日までに立ち上げる方針を発表した。肉類加工、乳製品加工、水産品、食品添加物業など8分野の業者が対象で、来年2月末までに約600社に川下・川下のサプライチェーンデータの登録を求める。登録を行わない場合、3万〜300万元の罰金処分を科し、会社登記の廃棄処分や1年以内の営業再開禁止など厳しい処分も下す方針だ。

 このほか、行政院環境保護署(環保署)は12日、今後各県市の環境保護局が食用廃油の回収に責任を持つとともに、台湾全土の飲食店や夜市の屋台から出される廃油の追跡調査を行うと発表した。台湾では行方が分かっていない食品廃油は毎年約3万トンに上る。