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《頂新食用油事件》南僑油脂にも疑い、ファミマ・スタバが自主回収


ニュース 食品 作成日:2014年10月16日_記事番号:T00053285

《頂新食用油事件》南僑油脂にも疑い、ファミマ・スタバが自主回収

 食品大手、南僑化学工業は15日、桃園県衛生局、衛生福利部から工業用油脂を食用油脂に混入させている疑いがあると名指しされた。南僑は単なる通関申請時の表記ミスと潔白を主張したものの、同社の油脂を使用した製品を扱うスーパー、コンビニエンスストア、パン屋などで自主回収の動きが広がった。16日付中国時報などが報じた。


李勘文南僑総経理(右)は、虚偽申請を行ったと謝罪し、深く頭を下げた。味全の株価はストップ安のままだが、南僑はプラスに転じた(16日=中央社)

 南僑の食用油脂はパンや焼き菓子向けを中心に市場シェア3割を占めている。不正疑いが報じられたため、台湾山崎パン、統一星巴克(プレジデント・スターバックスコーヒー)や、パイナップルケーキなどの老舗の福義軒食品廠、大潤発(RTマート)がパンやケーキなど関連製品を回収して他社製品に切り替えるなど、騒ぎが拡大する前に自衛策を図った。

ソフトクリーム、損失600万元か

 大手コンビニエンスストアの全家便利商店(台湾ファミリーマート)は、ソフトクリームとそのコーンに南僑製品を使用していたため、即時販売を停止した。同社のソフトクリームは1日最高20万本売れる人気商品で、1日当たりの営業損失は最大600万台湾元(約2,100万円)に達する見通しだ。

 南僑が工業用との表記で輸入していたのは、2013~14年8月のオーストラリア、フィリピンからの工業用のヘット(牛脂)、ココナツ油、パーム核油合計49件の輸入申請のうち30件(8,241トン)。桃園県衛生局は同日、食用油脂への混入が疑われるため、生産ラインと販売の停止、およびこれら油脂を使用しているバター、マーガリンなど123製品を予防措置として回収するよう指示したと発表していた。

虚偽申請に罰金3千万元

 一方台北市衛生局は16日、南僑に対し「工業用」との虚偽申請、および管轄の衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)の検査を受けずに輸入・販売を行っていたことに対し、「食品安全衛生管理法」違反で3,000万元の罰金を科すと発表した。南僑は疑いが指摘された後、輸入元のオーストラリアから「食用」であることを証明する書類を入手、提出したが、同書類の真偽についてはさらに調査が必要との見方で、工業用油脂が実際に混入されたかについては依然明確にされていない。

 なお南僑は、「工業用」と虚偽申請した30件の担当者は全て同一人物で、既に担当を外れていると説明。解雇するかは今後検討するとした。

煩雑な手続き嫌い

 虚偽申請が事実だったとして、財政部官務署幹部は、南僑の担当者が手続きの煩雑さから意図的に工業用と表記した可能性を推測した。ヘット、ココナツ油、パーム核油は食用、工業用に限らずゼロ関税だが、工業用であれば経済部の管轄で証明書が不要で検査もなく、わずか3秒で通関できる一方、食用の場合はTFDAの管轄で、通関の際に公的な証明書が必要で早くても2~3日かかる上、抜き取り検査(3~100%)で何か問題が疑われた場合は、1~2カ月足止めを食うことも日常茶飯事だと説明した。 

 南僑は16日午前に行った虚偽申請の謝罪会見で、政府への賠償要求を行わないと表明した。これに先立ち陳飛龍同社董事長は、同社の名誉が傷ついたとして政府への賠償請求も辞さないとの考えを示していた。