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《頂新食用油事件》魏応充前董事長を大統事件で起訴、悪質な手口露見


ニュース 食品 作成日:2014年10月22日_記事番号:T00053390

《頂新食用油事件》魏応充前董事長を大統事件で起訴、悪質な手口露見

 台北地方法院検察署は21日、昨年10月に発覚した大統長基食品廠の偽装表示事件に関連し、頂新国際集団の食品大手、味全食品工業が、7年間にわたって大統から調達した廉価な油を輸入油に見せかけて販売し、8億台湾元(約28億円)近い利益を上げていたとして、魏応充・前味全董事長を詐欺取財罪などで起訴した。頂新グループは過去1年間に3回も食品安全問題で指弾を受けているが、今回初めて魏前董事長が起訴され、その悪質な手口が露見した。22日付経済日報が報じた。


半年以上も問題のある油が市場に出回っていたとの非難に対し台北地検は、味全の商品は種類が多くて時間がかかったと弁明した(21日=中央社)

 検察によると、今年7月に大統の高振利董事長の懲役12年が確定した際、魏前董事長は2億元で食品安全基金会を立ち上げ、毎年2,000万元を寄付することを引き換えに起訴を見合わせるよう持ち掛けてきたが、検察はこれを拒絶。同日、魏前董事長と同時に関係者12人を起訴した上で、消費者を欺き、その健康を損ない、台湾の美食王国のイメージを傷つけたとして、裁判所に最も重い判決を下すよう求めた。

 弁護士は、詐欺取財罪の懲役は最高5年のため、魏前董事長は3回の犯行で、最高15年の懲役が科される可能性があると指摘した。

不正を実質指示

 起訴状によると、魏前董事長は2004年から味全、製油メーカーの正義公司(高雄市仁武区)、頂新製油(彰化県永靖郷)などの董事長を務め、06年から原料油の購入、配合、販売戦略を主導。07年に高価格のオリーブオイルやグレープシードオイルなどの人気が出始めた際、魏前董事長がスペインからの原料輸入を打ち切り、大統からの調達に切り替えるよう指示した。大統の高振利董事長は、頂新側からのオファー価格が極端に低かったことから、オリーブオイルにひまわり油、キャノーラ油を混ぜ、違法着色料の銅葉緑素(銅クロロフィル)を添加して緑色を深めていた。

 頂新の品質保証部主管は当時、大統の油は脂肪酸の含有率が異常で、色が不自然と訴えたが、魏前董事長は「コストを考えろ」と指示。味全傘下の中央研究所に検査基準を変更させ、無事に検査を通過した油を「健康キッチンオリーブオイル」などの名称で販売した。2年前には製品14種の配合比率を変更し、パーム油98%に大統の質の悪いオリーブオイルを1%加えたものを「味全欧風黄金精華調合油」などの商品名で販売していた。

 中央研究所は、多価不飽和脂肪酸の含有率が高く、比較的高価なダイズ油の代わりに廉価のパーム油を98%配合した。パーム油は冬になると結晶が沈殿しやすいため、瓶を濃い色に変更し、結晶化を遅らせるために乳化剤を加え、「瓶の濃い色は日光を遮断するため、乳化剤の添加は酸化を防ぐため」と消費者対応の話術を教えていた。

 台北地検は、規定によるとオリーブ油調合油という名称の場合オリーブ油50%以上、2種類以上の調合油は各30%以上を含まなければならず、味全は故意に曖昧な商品名と瓶のオリーブの写真で消費者を欺いたと指摘した。

 医師は、パーム油は摂取し過ぎると高血圧や糖尿病になりやすいと指摘した。