ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

iPhone6プラスの半導体に問題か、リコールなら台湾メーカーに恩恵


ニュース 電子 作成日:2014年11月5日_記事番号:T00053658

iPhone6プラスの半導体に問題か、リコールなら台湾メーカーに恩恵

 5日付経済日報などが韓国のビジネス情報サイト「ビジネスコリア」の報道を基に報じたところによると、アップルの新スマートフォン「iPhone6プラス」の128GB(ギガバイト)版で、アプリまたは通知の切替操作を行った際、強制終了したり再起動を繰り返す不具合が起きる事例が相次いでおり、NAND型フラッシュメモリーのコントローラーICが原因となっている可能性を指摘した。不具合が事実で、アップルがリコール(回収・無償修理)を実施した場合、iPhone6他機種への振り替え需要で台湾のサプライチェーンが恩恵を受けることが期待される。

 iPhone6プラスの不具合は発売直後の9月下旬、アップルの公式ホームページの世界中のユーザーと情報交換できる「アップルサポートコミュニティ」への投稿で発覚した。先月末には米国のアップル関連情報サイト「アップルインサイダー」もこの問題を報じ、700個以上など大量のアプリをダウンロードすると不具合が起きると指摘していた。

 これを受けビジネスコリアは、iPhone6プラスのNANDフラッシュコントローラーICのデータ記録方式に「TLC(トリプルレベルセル)」を採用したことが原因と分析した。

 TLCは、「SLC(シングルレベルセル)」や「MLC(マルチレベルセル)」に比べ書き込み可能容量は2~3倍で、低価格が特徴だ。ただ書き込み速度、安定性はSLC、MLCには及ばないため、アップルはタブレット端末「iPad」の一部機種に搭載しているものの、iPhoneでは必ず「MLC」を採用してきた。ただ、iPhone6プラスでは、コスト低減のためにTLC採用を決めたとみられる。

別機種の需要拡大か

 今回の不具合についてアップルから原因や解決策は示されていないが、同社初の大規模リコールに発展する可能性が指摘されている。その場合、イメージダウンも予想されるが、アップルユーザーは製品への忠誠心が高く、iPhone6の別機種を求めるとみられるため、影響は小さいと予想される。128GB機種は人気が高く、リコールとなればさらなる品薄を招くが、64GB機種の需要が高まる可能性もあり、サプライヤー入りしている▽組み立て、鴻海精密工業(フォックスコン)▽筐体、鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)、可成科技(キャッチャー・テクノロジー)▽コネクター、正イ精密工業(フォックスリンク、イは山の下に威)▽カメラレンズ、大立光電(ラーガン・プレシジョン)▽フレキシブル基板(FPC)、臻鼎科技控股(ZDT)▽バッテリー、新普科技(シンプロ・テクノロジー、SMP)──などは受注増が見込まれる。

 一方、問題が指摘されるNANDフラッシュコントローラーICは、韓国のSKハイニックスが生産している。今回の問題を受けて、アップルが外部調達を増やすことが考えられ、業界大手の群聯電子(ファイソン・エレクトロニクス)がサプライチェーン入りを果たすこともあり得る。

 なお、iPhone6プラスのリコールについて通信キャリア最大手、中華電信の石木標総経理は「聞いていない」と述べた。また販売店も「アップルからそうした指示はない」と説明している。 

【表】