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鴻海が高雄パネル投資に800億元、iPhone視野にLTPS生産


ニュース 電子 作成日:2014年11月20日_記事番号:T00053950

鴻海が高雄パネル投資に800億元、iPhone視野にLTPS生産

 鴻海科技集団(フォックスコン)は20日、群創光電(イノラックス)の高雄市路竹工場でのLTPS(低温ポリシリコン)パネル生産計画推進を明らかにした。アップルはスマートフォンiPhoneにLTPSパネルを全面採用しており、鴻海は組み立てだけでなく、日韓メーカーからパネル受注を奪うことで、粗利益率の大幅向上を狙うもようだ。郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は、投資額は800億~900億台湾元(約3,100億~3,400億円)で2016年4月量産との見通しを示しており、台湾で行われる液晶パネル分野の投資としては金融危機以降で最大となる。20日付経済日報などが報じた。


路竹出身の王金平立法院長(左4)は、郭董事長(左5)を讃え、鴻海の投資により南科の生産額が急増すると予測した(20日=中央社)

 郭董事長は同日、イノラックスの8.5世代工場で開催した記者会見「投資台湾、深根台湾」で、LTPS投資が日本、韓国を超える分岐点になると意気込んだ。

 設備メーカーは、8.5世代工場の半分が空いており、LTPSパネルの月産能力は6世代ラインなら3万枚(ガラス基板投入枚数)分と予測した。同社はまた、テレビパネル需要も旺盛なため、8.5世代工場の生産能力を1万~2万枚増強する可能性があると指摘した。

 郭董事長は先日テレビ番組のインタビューで、もし自分が外国人なら台湾投資などしないし、台湾人なら規模を縮小すると台湾の投資環境を懸念する発言をしていた。今回の計画発表に対し業界では、郭董事長の景気見通しは正確で、本気で楽観していないならば軽々しく投資などしないとの見方だ。郭董事長は12年、シャープ堺工場に出資し、黒字転換に導いた実績がある。

中国で新ライン続々、良品率が鍵に

 LTPSパネルは、アップルがiPhone6に至るまでシリーズ全機種に採用しており、小米科技(小米、シャオミ)などスマホブランドが追随、今やハイエンド機種にほぼ搭載されている。市場調査会社、ディスプレイサーチの統計によると、アップルと中国ブランドのスマホパネルの需要は、世界のLTPSと酸化物半導体TFT(Oxide TFT)パネル生産能力の73%を占める。

 LTPSパネル最大手はジャパンディスプレイ(JDI)で、アップル需要に応えるため、シャープ、LGディスプレイ(LGD)も生産能力を拡大している。16年末までに中国でLTPSパネル工場7基が稼働する見通しで、友達光電(AUO)も今年年初、中国・江蘇省昆山市の8.5世代工場計画を6世代LTPS工場に変更すると発表した。投資額は500億元、早ければ16年に量産する予定だ。

 工業技術研究院(工研院)産業経済趨勢研究センター(IEK)の林研詩アナリストは、中国でLTPSパネル工場稼働が相次ぐことで、生産過剰に陥る可能性があると予測。LTPSパネルは生産の技術的難易度が高く、良品率と量産時期が鍵になると指摘した。

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