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原油価格下落止まらず、台塑化が大幅赤字転落も


ニュース 石油・化学 作成日:2014年12月8日_記事番号:T00054276

原油価格下落止まらず、台塑化が大幅赤字転落も

 国際原油価格の下落が止まらず、台塑集団(台湾プラスチックグループ)傘下の製油業者、台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル、台塑化)の含み損が膨らんでいる。証券会社は、原油価格が今月も下げ止まらなければ、第4四半期は100億台湾元(約390億円)の赤字に転じると予測した。8日付工商時報が報じた。

 国際原油価格は11月下旬、石油輸出国機構(OPEC)が原油の減産を見送ったことを受け、米国産標準油種(WTI)の1月渡しの終値が、10%安の1バレル=66.15米ドルと2009年9月以来の安値となった。また、北海ブレント原油価格の終値は3.4%安の70.15米ドルだったが、一時10年5月以来の60米ドル台を付ける局面も見せた。12月に入りWTIは67米ドル前後、北海ブレント価格は70~71米ドルと落ち着きを見せているが、わずか2カ月で30%、半年で40%もの大幅下落となっている。

 原油の調達は1カ月半前から行うため、原油価格の下落で在庫品は含み損を抱えることとなった。ただ、陳宝郎・台塑化董事長は、2カ月分の在庫をさばければ、原油価格下落の恩恵を受けると強調。製油や川上のエチレン、プロピレンの生産コストが下落し、利ざやが増えるためで、来年には価格下落圧力も大幅に減少すると説明した。

 しかし証券会社は、2カ月分の在庫は9月に1バレル=99米ドルで調達したとすれば、5日に70米ドルまで下落しており、1バレル当たり29米ドルの赤字を生むと試算。同社の1日当たりの生産能力36万バレルで計算すると、損失は1カ月100億元に上ると指摘した。

 市場では、米国のシェールガス採掘に対抗し、原油価格は40米ドルまで下落するとの見方も浮上している。陳董事長は「40米ドル台はあり得ない」との見方だが、今後も下落基調は続く見通しだ。

 また、エネルギー資源を輸入に頼る台湾経済にとって原油価格の下落で受ける恩恵は大きいが、エネルギー価格高騰を受けて推進してきた代替エネルギーの太陽光発電、電気自動車(EV)産業は、政府の支持がなくなればたちまち苦境に陥るとの懸念の声も上がる。

ガソリン価格、13週連続下落

 一方、原油価格下落を受け台湾中油(CPC)は8日からのガソリン価格を1リットル当たり1.2元下げ、最も需要が高いオクタン価95無鉛ガソリンは1リットル=28.4元と過去5年で最低となった。ガソリン価格は9月以来13週連続で下落しており累計で5.6元、今年6月のピークからは7.6元も下がっている。

 これを受けて、比較的燃費の悪いとされるスポーツ用多目的車(SUV)の販売が好調だ。ガソリン価格高騰時はSUV車への買い替えが伸び悩んでいたが、9月の台湾産SUV車販売台数は4,951台と前月比38%増えた。10、11月はわずかに減少に転じたものの、原油価格がさらに下落すれば消費者の購買意欲刺激に一役買うと自動車メーカーは予測している。 

【図】