ニュース 電子 作成日:2014年12月19日_記事番号:T00054512
原油価格の下落を受けてロシアの通貨ルーブルが暴落する中、パソコン大手ブランドの華碩電脳(ASUS)、宏碁(エイサー)がロシア向け出荷を停止するとの観測が浮上した。アップルはロシアで既に、自社サイトでの販売を停止している。証券会社によると、両社のロシア市場の売上比率は約5%以下だが、第4四半期に為替損失が発生する恐れがある。19日付蘋果日報などが報じた。
ルーブル急落でロシアのアップル製品が世界最安値となり購入が殺到。アップルは11月下旬にiPhoneを25%値上げしたが、それでも追い付かず、オンラインストアの一時閉鎖を迫られたようだ(中央社)
調査会社バーンスタインによると、ASUSは今年ロシアにタブレット端末、低価格スマートフォン「ZenFone」を投入し、マザーボードでは首位に浮上した。同社のロシア売上高構成比は約5%。通貨安が進むブラジル、日本を合わせた3カ国の売上高は10%とみられる。ブラジルではZenFoneが発売後すぐに売り切れたほど人気だ。
ASUS広報担当者は、第4四半期の利益に打撃を与えそうな通貨としてルーブル、ブラジル・レアル、人民元を挙げ、その他通貨に関しては為替ヘッジで衝撃を緩和できる範囲と説明した。第4四半期は為替差損が予想されるが、上半期に為替差益が出たので、通年の営業外収益は均衡すると予測した。
エイサーはロシアでタブレットが5位以内。ブラジルではPCブランド首位、日本では8月にグーグルのクロームOS(基本ソフト)搭載ノートPC「クロームブック」を発売した。エイサーの広報担当者は、ロシアとブラジルで為替差損が出るのは確実と認めた。
富邦投資顧問のアナリストは、エイサーのロシアの売上構成比は5%未満で、四半期で赤字に転落するほどの影響はないと予測。一方、中国の売上高は20%近くを占める。
ギガバイト、年初から対策
マザーボード大手、技嘉科技(ギガバイト・テクノロジー)の馬孟明総経理は、従来ロシアでの売上比率は非常に高かったが、今年はロシアをめぐる経済環境の変化を受けて年初から販売を抑制しており、現在の出荷量は5%未満と説明した。
同社広報担当者は、ロシア、ブラジル、日本向け出荷は全体の5~7%だが、ロシアと日本は米ドルで代金を受け取っており、通年では為替差益が出る見通しと述べた。
ODM、受注取り消しを懸念
ノートPCのODM(相手先ブランドで設計・製造)メーカー関係者は、ロシアのノートPCブランドが発注を減速し、流通業者も慎重に転じており、在庫が増えていると話した。サプライチェーンの間では、ルーブル急落がロシアの消費者の購買意欲に影響し、顧客から突然発注を取り消されるのではないかとの懸念が広がっているという。
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