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水不足深刻、電子など6業種に打撃も


ニュース 公益 作成日:2015年2月3日_記事番号:T00055279

水不足深刻、電子など6業種に打撃も

 台湾は10年来の水不足に見舞われており、春節(旧正月、今年は2月19日)後には一部地域で第2段階給水制限の実施が避けられない見通しとなっている。経済部工業局は2日、実施が確定すれば32カ所の工業区、2,219社が影響を受け、特に▽電子▽化学工業材料▽基本金属▽紡織▽石油化学▽製紙──6業種、945社は影響が深刻との見方を示した。水の使用量の多いファウンドリーの台湾積体電路製造(TSMC)や液晶パネルの友達光電(AUO)、群創光電(イノラックス)は、既に対策を講じており影響は大きくないと強調している。3日付経済日報などが報じた。


1月中旬時点の曽文ダム。地面がひび割れするほど貯水量が減少している(中央社)

1日6.7万トン供給減に

 第2段階給水制限では、大口契約者(毎月1,000トン以上利用)で20%、一般工業用水で5%供給量を削減する。医療施設などには適用しない。来週10日に渇水対策会議を行い、春節後の実施地域を発表する運びとなっており、供給量は1日当たり6万7,000トン減少すると試算している。

 現在既に▽新北市の板新・林口地区▽桃園市▽新竹県▽苗栗県▽台中市▽彰化県北部▽台南市▽高雄市──の工業区で、第1段階給水制限として夜間(午後11~翌午前5時)に減圧給水措置が取られている。今後水がめ地域にまとまった雨が降らなければ第2段階の給水制限実施を余儀なくされ、石門ダム(桃園県)の給水地域に含まれる▽新竹科学工業園区(竹科)▽林口工業区▽亀山工業区──や、鯉魚潭ダム(苗栗県)を水源とする▽頭份工業区▽竹南工業区▽銅鑼工業区──、曽文ダム(嘉義県)を水源とする▽民雄工業区▽頭橋工業区▽嘉太工業区──などへの進出企業が影響を受ける見通しだ。

 工業局は、非常事態の場合は臨時給水所の設置や給水車の手配などによって企業を支援する姿勢を示しているが、企業や各工業地区に対し、当面は貯水施設の設置や雨水の利用、長期的には節水と再利用などで対応するよう呼び掛けた。

TSMC、「生産に影響なし」

 第2段階給水制限の対象となる工業区に工場を構え、水の使用量の多いファウンドリーのTSMCは、長年蓄積した節水、再利用技術を駆使する他、緊急時には給水車で水を運ぶため生産ラインは影響を受けないと強調した。TSMCは排水の回収率が85%と、世界の半導体業界で最も高い割合を誇り、年間3,700万トンを節水していると説明した。

 液晶パネル大手のAUOの彭双浪(ポール・ポン)総経理は、排水の回収率は90%、一部工場では雨水の貯留施設を設けていると語った。イノラックスは、第2段階給水制限を視野に既に5%の節水を達成していると強調した。

 台塑集団(台湾プラスチックグループ)は、現段階で第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷、通称六軽)で給水制限の措置は取られていないが、普段から節水、排水の再利用に取り組んでいることが役立つと説明した。1日当たりの使用量は27万トンで、かつての34万トンから減っているという。

 中国鋼鉄(CSC)の林弘男・執行副総経理は、同社の排水回収率は98.5%以上で、第2段階給水制限が実施されても影響は軽微との見方を示した。

【表】