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アップルウオッチ出荷目標半減か、台湾供給網に打撃


ニュース 電子 作成日:2015年3月23日_記事番号:T00056026

アップルウオッチ出荷目標半減か、台湾供給網に打撃

 米アップルは4月24日に発売する腕時計型ウエアラブル(装着型)端末、アップルウオッチの出荷目標を、従来の月250万〜300万台から125万〜150万台へと半分に削減したとの観測が浮上している。同製品の組み立てとタッチパネルの良品率がわずか30〜40%にとどまっていることが理由とされる。観測が事実であれば組み立ての広達電脳(クアンタ・コンピュータ)など台湾サプライヤーの第2四半期業績に影響する恐れがある。23日付経済日報がサプライチェーン関係者の情報を基に伝えた。

 観測によると、アップルウオッチはアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)方式パネルを採用し、当初はLGディスプレイ(LGD)が独占供給する。湿気に弱いAMOLEDパネルには従来、製造工程で湿気の侵入を防ぎ、真空乾燥が可能なガラス基板が用いられてきた。しかし、アップルウオッチのAMOLEDパネルにはポリエステル(PET)フィルム基板が使用され、真空乾燥ができないため後工程モジュール(LCM)生産時に湿気が入り込みやすく、AMOLEDパネルの良品率を低下させる原因となっているようだ。

 また、アップルウオッチの組み立ては、小型の製品に大量の部品を組み入れる高い精密度が要求され、ノートパソコンの組み立てを主に手掛けてきたクアンタにとっても難易度が高いようだ。また、アップルはAMOLEDパネル生産に問題が出るたび製品の設計を変更しており、組み立て良品率が改善しないもう一つの原因になっているとされる。このため、アップルウオッチの生産台数はかなり少なく、一部には単月出荷台数が30万台にとどまるとの観測もある。

 AMOLEDパネルの低い良品率はLGDによる改善が待たれ、組み立ては鴻海精密工業が労働力を動員し、良品率改善に向けクアンタを支援するとも観測されている。すなわちクアンタによるアップルウオッチの出荷拡大には、LGDのパネル良品率改善と、鴻海の組み立て支援開始を待つ必要があるということだ。

 アップルウオッチは生産面での懸念の他、製品価格が高く、iPhone5以降のアップルのスマートフォンとセットで使うことが利用条件となっており、市場では売れ行きを心配する声も出ている。

2代目製品、台湾メーカー受注増も

 アップルウオッチは組み立てや多くの部品供給を、各分野のサプライヤー1社が独占で手掛けているが、アップルは今年下半期にも発売が予想される第2世代製品では、リスク分散、良品率改善、コスト抑制などを目的にサプライヤーを多様化させる見通しで、さらに多くの台湾メーカーがアップルウオッチ関連の受注を獲得できると経済日報はみている。

 アップルウオッチのタッチパネル貼り合わせとタッチセンサー供給は宸鴻集団(TPKホールディング)が行っているが、組み立てに鴻海が加わることで、第2世代製品では鴻海傘下の業成科技(GIS)がタッチパネル関連受注を獲得する可能性がある。

 なお、AMOLEDパネルでは今後、LGDに加え、ジャパンディスプレイ(JDI)やサムスンディスプレイがサプライチェーンに加わる可能性があると予想されている。

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