ニュース 金融 作成日:2015年3月27日_記事番号:T00056142
馬英九総統は26日、中国が設立を主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加意欲を初めて表明した。将来の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加が視野にある。ただし、中国が「一つの中国」の原則を堅持する下、加入に当たっては台湾の名義が最大の課題となる。27日付工商時報などが報じた。
中国に到着した蕭前副総統(左)。28日に習主席と会談する予定だ(26日=中央社)
AIIBは中国が主導して、アジアの途上国にインフラ整備の資金を貸し出す国際金融機関。年内に設立予定で、資本金は1,000億米ドル。創設メンバーの参加期限は3月末で、これまでに欧州主要国や韓国など37カ国が参加を表明した。米国は国際的影響力の拡大を狙う中国の思惑を警戒しており、日本は当面の参加を見送った。
馬総統は、AIIBへの参加理由として、▽台湾は地域平和を創造し、人道支援を提供する、国際社会で役立つ存在を目指している▽AIIB参加を表明した国はRCEP交渉参加国と重複しており、台湾のRCEP、TPP参加にプラスに働く▽中国が「一帯一路」(陸上と海上の2つのルート構築で中国とアジア、欧州を結ぶシルクロード経済圏構想)の一環として推進するAIIBに対し、台湾は両岸(中台)関係と国際関係を考えれば、傍観するわけにはいかない──と述べた。
馬総統は、中国・海南省で26〜29日開催の「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」年次総会に出席する蕭万長・前副総統を通じて、習近平国家主席にAIIB参加意欲を伝えると明かした。その上で、AIIB参加は国単位なので、台湾の参加名義について協議が必要との認識も示した。
財政・金融トップも賛成
張盛和財政部長は同日、AIIBはRCEP、TPPより規模が大きく、中央アジア、欧州もカバーするため、もし参加できれば、台湾経済に貢献すると述べた。ただし、参加を検討するには条件が出そろっておらず、参加を要請されているわけでもないと話した。参加する場合も台湾の名義問題があり、矮小(わいしょう)化されないことが大前提で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)やアジア開発銀行(ADB)の参加名義が参考にできると語った。なお、APECなどの国際機関に台湾は「中華台北(チャイニーズタイペイ)」名義で参加している。
金融監督管理委員会(金管会)の曽銘宗主任委員も同日、AIIB参加に賛意を表明した。台湾銀行業界に商機をもたらすため早期の参加が望ましいが、中台関係や国家戦略にも関係するため、外交部や行政院大陸委員会(陸委会)が参加の時期や名義をよく考えなければならないと話した。
中央銀行(中銀)の彭淮南総裁は、台湾が国際機関に参加すること自体に意義があると述べた。しかも、アジアのインフラ整備資金需要は8,000億米ドルが見込まれ、既存のADBの180億米ドルでは全く足りないと語った。台湾のAIIB参加名義については、中台双方が受け入れられる現実的な方法で解決するしかないと話した。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722