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TSMC今年の設備投資引き下げ、最大8.7%


ニュース 電子 作成日:2015年4月17日_記事番号:T00056494

TSMC今年の設備投資引き下げ、最大8.7%

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は16日、今年の設備投資額見通しを105億〜110億米ドルに、従来の115億〜120億米ドルから8.3〜8.7%下方修正したと発表した。生産効率向上で設備購入規模を従来予定より減らせる他、顧客の16ナノメートル製造プロセス採用増で需要が減少した20ナノ生産ラインを16ナノに移行させることで、今年の生産能力拡充計画の達成に必要な設備投資を節減できるためだ。17日付工商時報などが報じた。


TSMCは米ドル高による欧州市場などでの購買力低下を受け、今年のファウンドリー市場の成長率見通しを下方修正しているが、劉共同執行長(右)は、同社の設備投資引き下げとは関係ないと強調した(16日=中央社)

 TSMCは、ウエハー1,000枚当たりの生産効率が向上したため、当初予定していたほど生産設備を購入する必要がなくなったと説明。また、顧客の16ナノプロセス採用が急速に進み、20ナノ需要が従来予測を下回っているが、16ナノと20ナノの製造技術は同世代のため、20ナノ生産設備の95%は16ナノでも利用できると指摘。20ナノから移行させることで、16ナノへの新規設備投資を節減できると説明した。

 劉徳音TSMC共同執行長は、設備投資を引き下げても今年の生産能力計画に影響しないと強調。年産能力は12インチウエハーベースで900万枚以上へと前年比12%増加すると予想した。

Q1売上高・利益、過去2番目に

 TSMCが同日発表した第1四半期の連結売上高は前期比0.2%減、前年同期比49.8%増の2,220億3,400万台湾元(約8,500億円)、純利益は前期比1.2%減、前年同期比65%増の789億9,000万元で、ともに四半期ベースで過去2番目の高水準だった。アップル向けの出荷ピークが続いたためだ。粗利益率は49.3%と前期比0.4ポイント下落したが、4四半期連続で49%以上を維持した。

 第1四半期売上高の構成比で、20ナノプロセス製品は16%と前期比4ポイント下落した。顧客の在庫調整が主因だ。一方、28ナノは需要が依然強く、売上高構成比は30%に上った。

通年10%以上の増収に自信

 TSMCは、第2四半期売上高は2,040億〜2,070億元で、前期比6.8〜8.1%減少すると予想した。証券会社予想の前期比3〜5%減より悪い数字だ。TSMCは減収予想の理由として、▽顧客の製品販売減少▽在庫調整▽台湾元の対米ドル上昇予測──を挙げた。

 劉共同執行長は、一部の携帯電話用チップ顧客の第2四半期需要見通しが甘く、同顧客への出荷が遅れていると指摘した。ただ、顧客の在庫は第2四半期末には健全な水準に下がると予想した。16ナノプロセスによる量産が始まる第3四半期以降は成長力を取り戻し、通年で前年比10%以上の増収が依然期待できると語った。

【図】