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中国が半導体生産額で猛追、台湾業界に危機感


ニュース 電子 作成日:2015年4月22日_記事番号:T00056576

中国が半導体生産額で猛追、台湾業界に危機感

 台湾の半導体生産額は5年前は中国の2.62倍だったが、今年は約1.3倍まで差が縮小する見通しだ。ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)の顔博文執行長は21日、台湾の成長が鈍化する中、このままでは急追する中国に追い抜かれると警鐘を鳴らした。DRAM大手、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)の黄崇仁董事長は、中国政府の産業支援に警戒感を示した。台湾半導体産業協会(TSIA)の盧超群理事長は、世界から人材を呼び込んで、新製品を創造、受託生産の価値を向上させ、生産額3兆台湾元(約11兆5,000億円)にまい進しようと呼び掛けた。22日付聯合報などが報じた。


TSIA理事監事改選で、盧理事長は続投が決定した(21日=中央社)

 TSIAの年次総会で21日、半導体業界の重鎮が一同に集まり、中国政府の産業支援が台湾メーカーにもたらす影響について熱い議論が繰り広げられた。

 顔UMC執行長は、台湾の半導体生産額が中国に追い抜かれる「デッドクロス」はあってはならないと強調。半導体産業の重要性は国防にも劣らず、先進プロセスの設備投資は巨額で、例えば14ナノメートルプロセスは、昨今話題となっている攻撃用ヘリコプター「AH-64E」(通称アパッチ)に相当するほどだと述べ、会場の笑いを誘った。

 黄パワーチップ董事長は、中国政府の産業支援はIC設計に重点が置かれていると指摘。中国は内需が巨大なため、世界市場におけるシェアが拡大し続けており、台湾のIC設計業界は気を引き締めなければならないと語った。一方、ファウンドリーとメモリー産業は先進プロセスと核心技術が必須のため、中国がすぐに台湾に追い付き、脅威となることはないと話した。

 盧TSIA理事長は、映画界のハリウッドのように、台湾半導体クラスター「タイセミウッド」を構築し、世界からトップクラスの人材を集めることができれば、技術や新製品の独自開発も可能になると指摘。海外人材誘致について専門家と協議するよう政府に提言した。

昨年2.2兆元、世界2位

 台湾の2014年半導体生産額は2兆2,000億元で前年比17%増え、米国に次ぐ世界2位だ。世界市場シェアは22%。半導体産業がGDP(域内総生産)に占める割合は14%、輸出総額に占める割合は22%で、それぞれ09年の10%、18%から拡大し、台湾経済における重要度が増している。一方、中国の半導体生産額は2013年の約2,500億人民元から、今年は3,500億人民元(約6兆7,600億円、約1兆7,500億台湾元)への成長を目標にしている。

 半導体メーカーで構成する市場調査機関、世界半導体市場統計(WSTS)によると、世界の半導体生産額は3,358億米ドルで前年比9.9%増だった。今年は3,521億米ドルへと4.8%成長する予測だ。

【図】