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TSMCがアップル「A9」過半受注か、16ナノでサムスンを逆転


ニュース 電子 作成日:2015年5月25日_記事番号:T00057157

TSMCがアップル「A9」過半受注か、16ナノでサムスンを逆転

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、今年半ばに量産を始める16ナノ立体構造トランジスタ(FinFET)プロセスのアップグレード版「FinFETプラス」で、アップルから次世代プロセッサー「A9」の過半を受注したもようだ。A9はこれまでサムスン電子とグローバルファウンドリーズ(GF)の連合体が14ナノで8割以上を受注したとの観測も浮上していたが、両社の良品率が予想を下回った上、TSMCが土壇場で価格を引き下げ、サムスン陣営から受注を奪い返したとみられる。25日付聯合報などが報じた。

 

 A9は主に、アップルが今年9月に発売するとみられるスマートフォン次世代機種、iPhone6s(4.7インチ)とiPhone6sプラス(5.5インチ)に搭載されるもようだ。両機種は8月下旬に量産入りし、今年の出荷台数は計8,000万〜9,000万台とされる。TSMCは7月のA9生産に向け、今月からウエハー投入を開始するとみられる。

 業界関係者は、TSMCの16ナノFinFETプラスはサムスン陣営の14ナノより性能が10%高く、これもTSMCが受注を奪還した一因と指摘した。

 TSMCは16ナノ開発が順調に進んでおり、下半期には生産能力拡充を加速し、サムスンの14ナノとの差を広げ、受注拡大を狙う可能性があると指摘されている。

「A10」独占受注か

 なおアップルの次々世代「A10」プロセッサーについては、TSMCが来年末に量産入りする10ナノメートルプロセスで独占受注し、10ナノ市場におけるインテル、サムスンとの競争で勝利を収めたと伝えられている。

 ただ、インテルは10ナノで生産したプロセッサーを来年第3四半期に発売する見通しで、これは10ナノ開発スケジュールでTSMCを1四半期リードしていることを意味し、TSMCがアップルのプロセッサー受注をインテルに奪われる可能性が指摘されている。

 TSMCはインテルとの差を縮めるため、来月に新竹科学工業園区(竹科)の12インチウエハー工場「Fab12」に10ナノ試験生産ラインを設置し、10ナノ研究開発(R&D)チームを集めて試験生産を行うとみられる。

サムスンも来年末10ナノ量産

 外電によると、サムスンも来年末の10ナノFinFET量産入りを目指しており、実現すればTSMCと同時期に10ナノ量産を開始することになる。

 サムスンの脅威に対し、TSMCは早くから10ナノでシリコンIP(知的財産)の認証プロセスを開始し、設計ツール35件以上の認証を完了した他、一部のフォトマスクに最新鋭の極端紫外線(EUV)露光装置を採用するなど、10ナノ投資を進めている。

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