ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

CTBCと中国中信、中台金融業界初の相互出資へ


ニュース 金融 作成日:2015年5月27日_記事番号:T00057212

CTBCと中国中信、中台金融業界初の相互出資へ

 台湾の大手金融持ち株会社、中国信託金融控股(中信金、CTBCフィナンシャル・ホールディング)は26日、第三者割当増資により、中国政府系、中国中信集団(シティック・グループ)傘下の中信銀行より3.8%の出資を受け入れ、戦略的投資家として迎えると発表した。また、CTBC傘下の中国信託商業銀行(CTBCバンク)が、中信銀行傘下の中信銀行国際(中国)の全株式を取得し、中国の完全子行(現地法人)化する。年内にも手続きが完了する見通しで、中台の大手金融機関が相互出資する初のケースとなる。27日付工商時報などが報じた。


呉CTBC総経理は、中国中信集団とは資本提携だけでなく、各種業務でも全般的に協力していくと語った(CTBCリリースより)

 中信銀行は1987年設立の商業銀行。中国に1,230カ所の営業拠点を持ち、同国の銀行としては規模9位。傘下の中信銀行国際(中国)は中国で外資系銀行に属し、深圳、上海、北京に各1カ所の営業拠点を持つ。

 中信銀行のCTBCへの出資額は約130億台湾元(約520億円)となる。CTBCの第三者割当増資は1株21.72元で実施し、同社の26日株価終値22.9元で計算すると5.4%のディスカウントとなる。一方、CTBCバンクは116億7,000万元で中信銀行国際(中国)を買収する。

出資比率は金融規制クリア

 相互出資計画は6月29日開催のCTBC株主総会での承認を得られれば、金融監督管理委員会(金管会)による審査に移る。中台間の金融監督に関する現行規定によると、中国の銀行は台湾の金融機関に5%まで出資できる。金管会の曽銘宗主任委員は、CTBCと中国中信集団の提携はCTBCの発展に大きく貢献する見通しで、金管会は法に従い両者の計画を審査すると述べた。過去のケースから見て審査は約3カ月で完了するため、相互出資は今年末までの手続き完了が見込まれている。

 なお、CTBCは董事の次期改選を17年に予定しており、中信銀行が将来的にCTBCへの出資比率を4.99%まで高め、中国中信集団の関係者がCTBCの法人董事代表に選出されるとの見方も浮上している。

 中台金融機関の資本提携では、永豊金融控股(シノパック・フィナンシャル・ホールディングス)傘下の永豊商業銀行(バンク・シノパック)が中国工商銀行(ICBC)から出資を受け入れることで13年4月に合意し、中国金融機関が台湾の銀行に出資する初のケースになると注目されていたが、出資実現の前提となる中台サービス貿易協定が立法院での承認待ちで発効されず、同計画は宙に浮いたままとなっている。

CTBC、念願の中国子行獲得へ

 CTBCバンクは中信銀行国際(中国)買収により、念願だった中国子行を手にすることができる。呉一揆CTBC総経理は、これにCTBCバンクが持つ広州分行(地域本部、支社)、上海分行・自由貿易試験区支行(支店)、設立申請中のアモイ分行を合わせれば、CTBCバンクは中国市場開拓を加速できると指摘。金融派生商品の取り扱い免許を入手できる上、人民元業務免許の申請が可能になり、資産運用、クレジットカード、消費者金融などの業務拡大が見込めると話した。