ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

マークス&スペンサー、業績不振で台湾撤退へ


ニュース 商業・サービス 作成日:2008年7月9日_記事番号:T00008716

マークス&スペンサー、業績不振で台湾撤退へ

 英小売り大手マークス&スペンサー(Marks & Spencer)と統一超商(プレジデント・チェーンストア)は8日、両社の合弁による台湾馬莎百貨の店舗(台北市2店、高雄市1店)の営業を終了すると発表した。台湾系、日系百貨店がせめぎ合う厳しい市場で消費者に魅力的なアピールができず、撤退に追い込まれたとみられる。9日付経済日報などが報じた。

T000087161
マークス&スペンサーは海外ではめったに割引を行わないとされるが、昨年11月には台湾小売業界の慣習に従ってセールを開催。このときから在庫負担は高まっていたようだ(9日=YSN)

 台湾馬莎百貨は昨年5月、資本金500万ポンド(約10億6,000万円)で設立された。持ち株比率はマークス&スペンサー60%、統一超商40%で、台北市忠孝東路の統領商圏、信義区の紐約紐約展覧購物中心(ニューヨーク・ニューヨーク)、高雄市の統一夢時代購物中心(ドリームモール)に3店を展開した。営業終了日は在庫商品の売れ行き次第とされているため未定だが、紐約紐約店は7月末までとみられる。統一超商にとっては小売業展開で初の事業縮小で、提携期間はわずか14カ月だった。

目標の半分以下の月も

 台湾市場からの撤退は、業績不振が続いたことが原因だ。経済日報によると、3支店の売上高は目標額に達したことがなく、目標の半分以下だった月もあるという。経済日報は業績低迷の理由として▽台湾進出が小売市場の低迷期に当たったこと▽テナント型の日系百貨店の販売方式に慣れた台湾の消費者に、マークス&スペンサーのオープン陳列方式がなじまなかった▽台湾での知名度が低かった──の3点を挙げている。しかし、今年上半期、百貨店最大手の新光三越百貨は前年同期比2.5~3%、2位の遠東百貨は8%売り上げを伸ばしており(6日付経済日報)、「消費市場の不況」は説得力が薄い。むしろ、激しい市場競争の中で、消費者に同店で買物をしたいと思わせる魅力を打ち出せなかったことに敗因がありそうだ。

 マークス&スペンサーは1894年の設立で、自社ブランドの衣料品、靴、ギフト商品・家庭用雑貨・食品などを販売している。現在世界39カ国・地域で282店舗を展開しており、英国市場以外ではこの5年で15~20%の成長をみせている。

半額セールに突入

 台湾馬莎百貨は閉店に向け、半額セール(一部商品を除く)に入った。割引後の価格は、▽男性用カッターシャツ、480台湾元(約1,700円)▽ネクタイ、680元▽女性用ジャケット、2,280元▽女性用シャツ、880元──など。

 統領店の店内は9日、平日の午前中にもかかわらず、閉店を知った買い物客でにぎわっていた。40代とみられる女性はワイズニュースの取材に対し、「香港に行ったとき必ず立ち寄っていたので、台北にオープンしたときはうれしかった。コットン100%なので靴下や下着も安心して着られる。閉店は本当に残念だ」と話した。

 同店と同じビルの2階のフィットネスセンター、「カリフォルニア」で働く30代の男性は、「太めの体型なので、大きいサイズもある同店が気に入っていた。きょうは買いたかった服をまとめ買いする予定だ」と語った。