ニュース 公益 作成日:2024年12月13日_記事番号:T00119130
電源装置大手、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)は12日、南部科学園区(南科、南部サイエンスパーク)台南園区の台南第2工場で、水蒸気を電気分解して水素を製造する固体酸化物電解セル(SOEC)と、水素などから電気を作り出す固体酸化物燃料電池(SOFC)の研究開発(R&D)拠点、台達浄零科学実験室(デルタネットゼロサイエンスラボ)を稼働した。部品やシステムの検証などを行い、2026年に少量生産を開始する計画だ。SOEC年産能力は30メガワット(MW)、SOFCは10メガワットの予定だ。13日付経済日報などが報じた。
デルタのネットゼロサイエンスラボ。台湾初のメガワット級の水素製造・燃料電池試験プラットフォームだ(12日=中央社)
デルタの鄭平・董事長は、水素エネルギーは低炭素で、交通や製造、長期の蓄電、低炭素燃料、分散型グリッド(電力網)などに適していると語った。7000万米ドルを投じて台南工場に水素の生産ラインを設置し、26年末に試験生産を行った後、3億米ドルを投じ、水素エネルギーの量産設備を設置すると説明した。
SOEC技術は、製造工程の熱回収と組み合わせ、水蒸気から水素を製造するもので、鉄鋼やアンモニア製造、合成燃料などの産業で利用できる。鉄鋼最大手、中国鋼鉄(CSC)が回収を担い、CSCや台湾中油(中油、CPC)、台湾電力(台電、TPC)が利用する。CSCの工場内に概念実証(POC)生産ラインを設置する計画だ。
SOFC技術は、マイクログリッド(小規模電力網)の検証段階に入っている。
デルタはネットゼロサイエンスラボで、SOECとSOFCの部品やシステムの検証を行う(デルタリリースより)
デルタは今年1月、英セレス・パワー・ホールディングスから、SOEC技術とSOFC技術のライセンス供与を受ける契約を締結していた。
■コスト最大40%削減
デルタのSOEC技術は、従来の水素製造技術よりコストが20~40%低減する。電力使用量は32%減少し、水の使用量は33%減少する。
SOFC技術で発電した電力は、TPCの発電と比べ、炭素排出量を1キロワット時(kWh)当たり25%削減できる。
デルタの鄭・董事長(左4)と蔡・総経理(左1)のほか、彭啓明・環境部長(左3)、提携パートナーのTPC、CSCの幹部らが稼働式典に出席した(デルタリリースより)
デルタの蔡文蔭・水素エネルギー応用新事業発展部総経理は、低炭素の水素エネルギーは価格と環境保全がボトルネックだったが、効率向上とコスト低減で産業界の負担を減らし、水素エネルギーの普及を推進すると説明した。送電網の強靭化のほか、半導体産業のAI(人工知能)データセンターなどにも利用できると語った。
【セミナー情報です】
法律・台湾事情・従業員意見・日系相場…これだけで賞与の全てがわかる「25年春節賞与大全集」セミナー。12月18日開催。
検索は「ワイズ、春節賞与」。
【セミナー情報の詳細はこちら】
https://www.ys-consulting.com.tw/seminar/118856.html
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722