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第586回 医薬品分類の法的枠組み


ニュース 法律 作成日:2025年9月8日_記事番号:T00123976

知っておこう台湾法

第586回 医薬品分類の法的枠組み

 台湾では、医薬品の有効性や安全性を確保するため、薬の分類や販売方法が「薬事法」によって厳格に規定されています。

 薬事法第8条では「製剤」を、有効成分を加工し錠剤・カプセル・液剤など特定の剤形や用量に調整したものと定義しています。この製剤は大きく3つに分類されます。すなわち「処方薬」、「指示薬」、「成薬(一般用医薬品)」です。

■処方薬・指示薬・成薬とは

 まず処方薬は、強い薬効を有しながら副作用のリスクも伴うため、薬事法第50条に基づき、医師の処方箋がなければ調剤・供給できません。例えば、経口抗生物質、降圧剤、糖尿病治療薬など、患者ごとの病状や体質を考慮した専門的管理が不可欠とされます。

 次に指示薬は、処方薬に比べ作用が比較的穏やかで安全性も高いとされています。ただし、自己判断による誤用を防ぐため、医師・薬剤師・薬剤生の助言を受けることが求められています。解熱鎮痛薬や風邪薬など、日常的に使用される薬がこのカテゴリーに含まれ、薬局でも入手可能です。

 そして成薬、すなわち一般用医薬品は、薬事法第9条で定義され、副作用が蓄積しにくく、使用方法が容易なものを指します。購入に際して医師の指示は不要であり、薬局やドラッグストアに加え、条件が合えば、百貨店やコンビニでも取り扱われています。

 さらに成薬は「甲類」と「乙類」に細分化されます。甲類成薬は薬局や薬剤師常駐の店舗でのみ販売可能で、胃腸薬や浣腸薬などが例示されます。一方、乙類成薬は安全性が高く、例えば一部の清涼剤や塗り薬などは、百貨店やコンビニ、さらにはインターネットでも販売可能です。

■日本との違い

 ここで日本との違いとして注目すべきは、「乙類成薬に限ってネット販売が認められる」という点です。したがって、薬品や、医薬品的性質を持つ可能性のある食品をオンラインで販売・譲渡する場合、薬事法に抵触し罰金が科されるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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