ニュース 社会 作成日:2025年9月22日_記事番号:T00124263
ワイズニュースこぼれ話「入居1カ月で大家に出ていけと言われた」、「2年契約で住んでいたのに追い出された」そんな話を台湾で暮らす日本人から聞いたことがあります。「管理しやすいよう他の人にワンフロアまとめて貸したい」、「住宅価格が高いうちに、売却したい」と説明されたそう。
台湾では不動産仲介会社を通さずに個人同士の契約で住宅を借りている人も多く、仕方がないのかなと思っていたところ、賃貸住宅の管理条例を一部修正するというニュースを目にしました。
ワイズニュースでもお伝えした通り、修正の内容は▽貸借期間の3年保障、▽契約更新時の家賃引き上げ制限、▽家主と賃借人の権利保障──の3本柱です。
賃貸住宅の管理強化へ、内政部が修正案
https://www.ys-consulting.com.tw/login/?next=/news/124248.html
https://www.ys-consulting.com.tw/news/123958.html
■家賃引き上げ、半年前に予告
管理条例の修正案によると、入居後3年は、▽家主が居住する、▽家賃の未払い、▽物件を壊した──などの場合を除き、家主は契約の更新を断れません。つまり3年間は原則、追い出されません。
「大家が自分で住むため」と嘘をつくのではないかと思いましたが、そう言って退去させた場合、その後1年間は物件を貸し出すことができません。違反した場合は処罰され、かつ賃借人に家賃の3カ月分を払わなければなりません。
また、家賃の引き上げは6カ月前に通知しなければなりません。しかも、行政院主計総処が発表する消費者物価指数(CPI)の家賃指数の上昇率を超える家賃引き上げは認められません。
たとえば、8月の家賃指数の上昇率は2.29%でしたので、月1万台湾元の家賃なら229元、家賃2万元なら558元しか引き上げられません。
■大家の脱税対策を防止
このほか、家主は賃借人に対し、▽政府への家賃補助の申請、▽住所の登録、▽総合所得税(個人所得税)の家賃控除の申告──を禁じることができません。
筆者も家探しで、家賃を安くするから家賃を確定申告しないでと言われたことが何度もあります。不動産仲介会社の紹介にもかかわらず、内見の際に、住所を登録しないでほしい、居留証の住所は友人の家に住んでいることにすればいいと言われたこともあり、驚きました。
こうした方法で家主が家賃収入を申告せずに、脱税することを防ぐのが、管理条例の修正の目的の一つです。
賃貸住宅に住む者にとっては安心ですね。ただ、これでは貸し手がいなくなると不満の声も出ているそうです。
青木樹理
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