ニュース 法律 作成日:2025年10月13日_記事番号:T00124600
知っておこう台湾法最高行政裁判所は先日、消費者保護にかかわる事件で、映画館は消費者が映画鑑賞時に外部で購入した飲食物を持ち込むのを禁止してはならないと認定する判決を下しました。
■持ち込み禁止が裁判に
本件概要は次のとおりです。
新北市政府は2022年2月に、市民から、新北市新荘区のAという映画館が映画鑑賞時に市民が外部で購入した飲食物を持ち込むのを禁じているとの告発を受けました。市政府が職員を現地に二度派遣して調査したところ、A映画館が確かに「外部で購入した飲食物のシアター内への持ち込みを全面的に禁止する」旨の公告を掲出していたため、当該映画館に対し公告の撤去を要求しました。
しかし、同年7月、再び新北市政府に「A映画館では、外部購入の飲食物禁止の公告を掲出してはいないが、依然として、従業員が消費者に対し、外部で購入した飲食物の持ち込みは禁止されていると口頭で伝えている」との告発があったことから、新北市政府は新北市消費者保護自治条例第32条第1項に基づき、A映画館を2万台湾元の過料に処しました。当該映画館はこれを不服として行政訴訟を提起しました。
■高価格で不公平
第一審の台北高等行政裁判所でA映画館敗訴の判決が下されました。A映画館が上訴した後、最高行政裁判所は25年8月に第二審で、やはり当該映画館の敗訴を認定する終審判決を下しました。
判決書では、「消費者が映画鑑賞時に外部で購入した飲食物を持ち込むのを映画館が禁止した場合、消費者に飲食の需要があったときに、映画館内で販売されている市場価格よりも高い食品を購入せざるを得ないこととなり、消費者にとって公平を欠いていることは明らかである。
従って、『映画上映事業者が外部購入の飲食物の持ち込みを禁止する附合契約に記載してはならない事項』で『映画上映事業者は、消費者が食品を上映場所に持ち込んで食するのを禁止する旨の掲示、表示または口頭での告知をしてはならない。
ただし、刺激的な匂いのするもの、匂いの強いもの、高温のスープ(飲料)または食べた時に音のする食品については、上映場所の目立つ位置に、持ち込みを禁止する旨の掲示または表示を行うことができる』と定めているのは、消費者の権益を保護するためであり、映画館に対する合理的な規制に該当する」と特別に説明しています。
■他人に迷惑かけない範囲で
日本では、多くの映画館で、消費者が映画鑑賞時に外部で購入した飲食物を持ち込むことが禁止されていますが、台湾では、映画館がそのように禁止することは違法行為に該当します。
よって、台湾で映画を観る時は、匂いが強かったり、食べた時に音が出るような食品でなければ、安心して映画館に持ち込んでお楽しみいただけます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
蘇逸修弁護士
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