ニュース 法律 作成日:2025年11月3日_記事番号:T00125051
知っておこう台湾法台湾の南北を繋ぐ高鉄(中国語:台湾高速鉄路)。実は近頃、以前に増して車内が静かになったのにお気づきでしょうか。高鉄は9月22日から、「静寂車両」(中国語:寧静車廂)措置を実施しました。当該措置は車両利用に関するモラル向上を目的とするものです。
しかしながら、一部利用客が、「子供がはしゃぐ声や乳児の泣き声等も措置における規制対象となる」と誤解したことから、「親子連れに不親切である」等の批判が生じ、高鉄の董事長が謝罪をするまでに事態が発展しました。
■旅客運送契約の改定
上記措置の実施に伴い改訂された「旅客運送契約」は下記の2つです。
第4条第3項 車内安静維持のため、乗客は電子機器をマナーモードに設定するか、イヤホンを使用しなければならない。電子機器を用いて通話またはビデオ通話を行う場合は、車両のデッキ部分で行うこと。
第11条第10項 本会社は、次のいずれかの事由がある場合、輸送を拒否し、契約を解除または終了することができる。「乗客が安全運行に影響を及ぼすおそれがある場合、騒ぐ、電子機器を用いて通話やビデオ通話を行う、または、通信アプリの通知音および音声・映像メディアを再生するなどして、他の乗客の安寧を明らかに妨げる行為をし、勧告を受けても改善しない場合。」
■子連れ乗車に配慮
このように、実際には旅客運送契約上、子供や乳児に関して述べている文言は見当たりません。
高鉄は今回の騒動を受けて、「静寂車両」措置は子供を対象としたものではないと強調したうえで、「これまでも現在も、当社は子連れ客に安心して乗車してほしいとの思いから、積極的に子供向けステッカーやお菓子を子供に配布するなどの工夫を行っている」などと説明しました。
情報社会の現代にあっても一次情報を自ら確かめる人は少なく、SNS上では安易な批判が飛び交う傾向にあります。今後、プレスリリースを行う場合には、レピュテーションリスク(評判低下により損失が発生する可能性)回避等の観点から、いかに誤解を招かない表現とするかが重要になりそうです。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
秋口麻貴弁護士
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