ニュース 政治 作成日:2026年10月30日_記事番号:T00131609
選挙特集 26年統一地方選挙台湾最多の人口を抱える新北市の市長選は、与野党対決の行方を占う重要な選挙区だ。前身の台北県(10年12月に直轄市に昇格し新北市に)を含め、2005年12月から国民党が首長を務めてきたが、民進党が21年ぶりに奪還する可能性が出てきた。
国民党公認候補の李四川・前台北市副市長(68歳)が当初優勢だったものの、民進党公認候補の蘇巧慧・立法委員(国会議員、50歳)が追い上げ、一部の世論調査では逆転した。

李氏は40年以上の行政経験とインフラ整備の実績を持つが、初めての選挙戦で、台北市副市長時代の政策が批判の対象となっている。一方、蘇氏は新北市選出の立法委員を3期務め、父親は台北県長や行政院院長(首相に相当)を歴任した大物政治家、蘇貞昌氏だ。台北市長選に出馬している民進党の沈伯洋・立法委員(44歳)の「洋流」ブームも、蘇氏の追い風になっているとの見方がある。
■話術よりインフラ整備の実績
李氏は台北工業専科学校(現・国立台北科技大学)電機科を卒業し、国立台北科技大学で電機工程の修士号を取得した。台北市政府の公共工事部門で経験を積み、台北県と新北市、高雄市、台北市の副市長を歴任した。台北市副市長時代には、グラフィックスプロセッサー(GPU)大手、米エヌビディアの北投士林科技園区(北士科、台北市北投区・士林区)の台湾本部誘致にも関わった。今年3月に台北市副市長を辞任し、初めての選挙に挑んでいる。
国民党の李氏(中)は28日、新北市板橋区の県民大道で、有権者に支持を訴えた(28日=中央社)
公約では、AI(人工知能)産業の発展のため、新北市淡水区の淡海ニュータウン第2期と第3期開発地区を「淡海科学城」として整備し、テック企業を誘致する方針だ。北士科と淡海地区を結び、AI産業の集積地を形成する構想もある。
■台北市長の公約と矛盾?
交通面では、新北市中和区と国父紀念館(台北市信義区)を結ぶ都市交通システム(MRT)中和光復線(計画中)を松山空港(松山区)まで延伸する構想を打ち出した。ところが、台北市長選で再選を目指す蒋万安・台北市長(47歳)が10月8日、松山空港の移転構想を発表したため、国民党の両候補の公約が矛盾していると批判の声が上がった。
台北市副市長時代の政策も批判の対象となっている。交通事故が多かった台北市のロータリー「公館円環」の撤去と路線バス専用の地下道の埋め立てを李氏が主導したが、新北市中和区や永和区から台北市への交通渋滞がかえって悪化したと、市民の不満の声が上がっている。
李氏は行政手腕への評価がある半面、演説やインタビューでの受け答えが淡々としており、本人も「理系男子」で話し下手だと認めている。
■子供向けポッドキャスト番組
蘇巧慧氏は、女子の名門校、台北市立第一女子高級中学、国立台湾大学法律学系を卒業後、米国ボストン大学とペンシルベニア大学で法律修士を取得した。台北市長選の民進党候補の沈氏とはペンシルベニア大学で同じ教授に学んだ旧知の仲だ。
16年に新北市第5選挙区(樹林区、鶯歌区、新荘区の一部)選出の立法委員に当選し、現在、3期目を務めている。
民進党の蘇巧慧氏(左2)は26日、新北市淡水区の小学校でハロウィンイベントに参加した(26日=中央社)
蘇巧慧氏は20年から、子供向けポッドキャスト番組の配信を開始し、「カワウソママ」として絵本の読み聞かせなどを行っている。親子向けイベントも開催し、若年層や子育て世帯に浸透を図っている。
公約でも、子育て支援や若者の起業支援などのほか、ペットのワクチン補助などを掲げている。
産業面では、ロボットやドローン、再生可能エネルギー関連産業を誘致する淡海科学城、AIを活用したスマート物流拠点を目指す台北港周辺の八里物流園区、精密機械やハイテク製造業を集積させる泰山区の楓江地区と樹林区の大柑園地区の科技園区などの整備を掲げている。
ワイズメディア 林珮真
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