記事番号:T00110757
「おかげさまで随分と浸透してきましたよ」場所は新竹県のとあるゴルフ場。2年ほど前に人事制度を導入したT社のS総経理より有り難い御言葉を頂戴いたしました。
こんにちは。ワイズコンサルティング佐藤でございます。筆者は制度構築のお手伝いをした後「うまく機能しているかな?」「まだ使ってもらっているかな?」と不安な気持ちがよぎることがあります。そういった不安を払拭するS総経理の言葉でした。
「浸透したのはいいのだけれど、実は新たな課題が見えてきましてね・・・」「えっ?」S総経理の続けての言葉に払拭したはずの不安が蘇ってきます。「一度、検証も兼ねて御社にお伺いしますので、詳しく聞かせてもらえますか?」「もちろんです。来週あたりいかがでしょう?」と面会の約束を交わし、アウト・インに別れゴルフをスタートをいたします。S総経理の言葉が引っかかり、ゴルフどころではないその日の筆者でございます。
良い点と新たな問題点
T社への訪問した際、管理部門長C経理を紹介いただき、S総経理と筆者と3者でのミーティングを始めます。C経理は女性らしくきめ細やかに制度の運用を行ってくれています。また物怖じしない発言をすることで、総経理の信頼も厚い人物です。
役職毎に行動基準を設定。評価にも連動。
「佐藤さん、まずは問題と考えている点を伝えます」いきなりの直球に筆者が少し戸惑っていると、S総経理は救いの言葉を挟みます「問題の前に現状をお伝えしたら?」「はい、そうですね。新たな制度を導入し、現状2つの点が良くなっています。1点めは社員の向かうべき方向が明らかになった点。過去とは違い新制度で決めた役職役割に応じ『何をしたら良いか?会社が自分に何を求めているか?』が伝わるようになった点。2点めは『どうしたら昇格できるか?』が明らかになった点。」キレのある言葉でズバリとお聞かせいただきました。これは当初狙っていたポイントでしたので、うまく機能していると実感できました。
C経理は間髪入れずに「総経理。続けてよろしいでしょうか?」と同意を得た後「続けて問題と考える点ですが・・・」言葉に少しキレが失くなりました。「実は評価の最終集計を私が行っているのですが、いろいろ事情があり、毎度徹夜をせざるを得なくて・・・」「事情って?」「徹夜って?」これは詳しく聞かざるを得ません。
トラブル多発、さぁどうする?
製造業であるS社は現場スタッフにPCを貸与せず、自己評価を行う際、部門に一台設置している共用PCを使うルールです。
C経理が状況説明をしてくれます。「提出日ギリギリに自己評価をする社員が多いので、PCの順番待ちが発生します。待てない社員はルールを破りPC入力前に紙を印刷し、手書きで自己評価を記入してしまい、そのまま課長に渡しています。PC入力者も入力後にメール送信をせずにプリントアウト。一次評価者である課長に手渡してしまうのです。書き間違えも有り無駄な紙が発生するのも問題ですが、集まった評価結果を課長が全て入力しなければなりません」
S総経理が補足します。「共有PCの台数を増やしたり、何よりも早く着手するように話してはいるのですが、一向に変わらない。私は最終結果を元に昇給や賞与の額を決め、本社に申請を出すのですが、本社は時間の猶予をくれません」
C経理が言葉を被せ「課長の集計が終わらないと経理は二次評価が出来ません。経理の二次評価が終わらないと、私は最終集計を総経理に提出できません。待っている間に夜が明けてしまうのです。以前にある課長が経理へのメール送信の際に宛先ミスしてしまい、時間が無駄になるばかりか、セキュリティ上のトラブルまでおきてしまったのです」
この後はC経理の愚痴とも取れる社内での運用ミスを長々とお聞かせいただきました。ある程度話を聞いた後「先のお話だと、評価自体はうまく機能しているのですよね?しかし資源(紙)・時間・セキュリティがうまくいかない・・・」うつむき気味の総経理「内部統制の観点からもメール誤送信セキュリティエラーは完全防止と本社からは強く言われてましてね。佐藤さん、良い事例とかあれば教えてもらえませんか?」
「事例がないことは無いのですが・・・さて、どうしましょうか?総経理」
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本文に記載の事例は筆者の実体験・実話を基にしたフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。
佐藤豪紀
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