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第八日目 給料編「パンドラの箱?」②/台湾


コラム 経営 作成日:2023年6月9日

どうする?総経理 台湾人事制度 マル秘裏話

第八日目 給料編「パンドラの箱?」②/台湾

記事番号:T00109417

 「給料について総経理(日本人駐在員)は総額と人件費率だけの把握で問題ないでしょ?細かな中身は現地スタッフにお任せください!」制度見直しのお手伝いをさせていただいた日系Y社様(ワイズではない!)の台湾人管理幹部よりお聞かせいただいた名言(迷言?)です。

 皆さま、こんにちは。ワイズコンサルティング佐藤でございます。今回のコラムは前回に引き続き「どうする総経理?給料編2」として、過去の実例を掘り下げお伝えしてまいります。

 たしかに社員数が何百人・何千人規模の会社様であれば名言(迷言?)が当てはまるのかもしれません。ちなみに先のY社様、100名に満たない規模です。

 現実問題として「給料の構成がどの様になっているのか?」を駐在経営者が知る機会はなかなか無いかもしれません。私が給与制度見直しのお手伝いをさせていただく際には、必ず給料構造を紐解きます。単純に「良い悪い」を見るのではありません。老朽化してないか?合理性が保てるか?誰もが理解できる仕組みか?このような点に着目し掘り下げてまいります。

 「秘密の構造(パンドラの箱?)」を開けてしまった事例を紹介します。

21日開催給与セミナー

 給料といえば当社。年に1度、給与に関するセミナーを実施しております。本年も6月20日(火)に「日系企業/台湾企業の給与水準と台湾人社員の希望」というテーマで開催いたします。

 この機会に自社と賃金の仕組みを見直してみませんか?セミナーの詳細はこちらで確認願います。

【オンラインセミナー受付中】2023年6月20日開催

日系企業/台湾企業の給与水準と台湾人社員の希望

https://www.ys-consulting.com.tw/seminar/108927.html

開けますか?パンドラの箱

 先のY社様の事例です。「確かに総額や全体の人件費率は把握しています。細かな内容も一応聞いて入るのですが、お恥ずかしい話、理解が追いついていないまま時が過ぎてしまいました」T総経理は正直に話してくださいました。ゆっくりと紐解いていきます。

 まず給料体系、大項目では3種類。「基本給」「付加給」「手当」になります。ご存知とは存じますが、台湾では「基本給」という言葉に法的な拘束力はありません。言い換えれば、各企業が任意に設定しているだけです。法的な拘束力があるのは「月額経常性給与」になります。(月額経常性給与についてはワイズHP労務顧問ページでご確認ください。申し訳ございません。閲覧には会員登録が必要になります)

ワイズHP労務顧問ページ

https://www.ys-consulting.com.tw/service/labor/index.html

 さてY社様。大項目自体はシンプルです。複雑なのはこの先です。基本給が更に4項目に分類されています。「学歴給」「職能給」「職務給」「資格給」になります。

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 あえて「学歴給」を否定はしませんが、新卒採用の少ない台湾。何を学んできたか?も重要ですが、何を培い、今後の仕事でどのように活かすか?により注力したいところです。

 「職能給」これは複雑でした。社員階層ごとに階層・等級(薪等)を割り振ってあり、年度の業務結果により上昇させます。上昇の詳細ルールは存在していません。階層は14階層。等級は各階層で40等級あります。加えて、上位階層に昇格せず各階層の上限に達した場合、別の階層「年功階層」に移動するのです。年功階層で2年以内に昇格しない場合は、昇格機会が失われ永遠に年功階層を彷徨うことになるそうです。

 続いて「職務給」これは仕事の難易度、責任の重さ、専門技術、肉体的な疲労度により設定されます。全部で61段階!金額幅は25元。どう割り付けるのかを聞きましたが、合理的な回答は得られません。

/date/2023/06/09/ko03_2.jpg各項目に金額一覧表は存在。実際は大変に縦長でした。

 最後は「資格給」です。役職との紐づけはあるのですが、別途「役職手当」は 存在しています。役職数17種それぞれの役職に3~9等までの等級があり、全部で64種類。これらを組合せてようやく基本給です。どうやってステップアップするかも、それぞれの項目で違い(合理性は不足)、総経理ばかりか社員も理解をしていません。

だから、私が必要なのです!

 先の管理幹部は「その通り。皆、理解していません。だから私の存在が必要なのです。この制度は変えませんよ!」

 この他にも付加給・手当でも同様に複雑怪奇な仕組みが箱から次々と出てきました。この箱を閉じてしまうという選択肢も残されています。先の管理幹部は箱を閉じることを強く勧めてきます。

 総経理が一言「せっかくだから開けちゃおう(見直そう)」管理幹部が少し青ざめ、長い戦いが始まります。

 どうする?総経理。

次回「給与編 パンドラの箱②-2」

 人事制度の各種ご相談は「ワイズコンサルティング人事制度よろず相談所」まで。お気軽にご相談ください。

https://www.ys-consulting.com.tw/contact/sr.html

 本文に記載の事例は筆者の実体験・実話を基にしたフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。

佐藤豪紀

佐藤豪紀

ワイズコンサルティング社執行役員兼ワイズシステム社総経理

 前職では日本企業の副総経理として台湾駐在を経て2012年ワイズコンサルティングに入社。人事労務コンサルタントとして人事制度構築を中心に活躍中。駐在経営者として実践に基づいたコンサルティングに定評がある。特に人事面において高いコミュニケーション力を駆使し、クライアントの課題解決に最適なソリューションを提案している。(言語)日本語◎

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