ニュース 法律 作成日:2026年3月23日_記事番号:T00127509
知っておこう台湾法台湾では、家族経営企業やスタートアップを中心に、株主構成の安定性と信頼関係を維持するため「閉鎖性股份有限公司(以下「閉鎖型株式会社」といいます)」を選択するケースが少なくありません。しかし、株主が急逝した場合、その相続人は当然に株式を相続し、経営に参画できるのでしょうか。この点について、台湾最高裁判所112年度(2023年度)台上字第1512号民事判決が重要な見解を示しました。
■株式を時価で相続
従来、株式の相続とは遺産そのものを引き継ぐ「現物相続」が原則と考えられてきました。しかし、本判決において裁判所は、株主としての権利保障の本質は「株式そのもの」の取得にあるのではなく、その「財産的価値」にあると明示しました。
具体的には、定款に「買い取り者の指名」という条項――すなわち、「株主の死亡に伴い相続または遺贈が発生した場合、議決権を有する全株主の同意を経て、指名された株主が当該株式を時価で買い取る」といった規定がある場合、これが民法の相続規定に抵触して無効になることはないと判断されました。相続人は株式と等価の「公正な金額の現金」を受け取ることで、その相続権は十分に保障されるという考え方です。
■株式譲渡制限で経営安定
台湾の会社法において、閉鎖型株式会社は定款による高度な自治権が認められており、株式の譲渡制限を設定することが可能です。裁判所は、経営陣の安定性を維持するために、死亡した株主の株式を他の株主や会社が指名する者が買い取る旨をあらかじめ定款で合意しておくことは合理的であるとしています。これにより、経営方針を共有しない相続人が突如として経営に介入し、事業が停滞するリスクを回避できるためです。
日系企業が台湾で現地の個人と合弁会社を設立する際、上記の事例を参照し、「買い取り者の指名」に関する条項を定款に設けた閉鎖型株式会社を設立することも一案です。この手法により、経営方針を共有しない第三者に合弁会社の株式を取得されることを回避する効果があると考えます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
鄭惟駿弁護士
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