ニュース 法律 作成日:2026年7月6日_記事番号:T00129422
知っておこう台湾法最高法院(日本の最高裁判所に相当)民事大法廷は先月12日、不当利得返還請求事件について裁定を下しました。同裁定では、これまで見解が分かれていた問題について統一的な法律解釈基準が示されたことから、注目を集めています。
事案の概要は、以下のとおりです。まず、本件に先立ち、土地の所有者であるAは、Bが所有する建物が、Aらの土地に何の権利もないまま無断で建てられていることに気付きました。このため、Bに対し、「建物を取り壊して土地を返してほしい」と裁判を起こし、Aは無事勝訴しました。もっともその後、Aは、Bがその建物全体を、Cに貸していたことを知ります。そこでAは、「Cも、建物を借りて土地を使用していた以上、その土地を使用して得た利益(不当な利得)を返すべきだ」として、Cに対して裁判を起こしました。この事件について最高法院民事大法廷が示した判断が、今回ご紹介する裁定です。
■事情を知らない借主を保護
今回の裁判で問題となったのは、①他人の土地に建っている建物の借主も、その土地を使ったことになるのか(法律用語で「占有者」といいます)、そして、②仮に土地を使ったことになる場合、建物の借主もまた、土地の所有者に対してその土地を使用して得た利益を返す必要があるのかという点でした。
最高法院は、まず①について、建物は土地と切り離して利用することはできないため、建物の借主は、建物だけでなく、実際には、その建物が建っている土地も使っていることになるとして、建物の借主であっても、土地の「占有者」に当たると判断しました。その上で②については、占有者が、「自分には土地を使う権利がある」と信じることにつき正当な理由がある(法律用語で「善意の占有者」といいます)場合を除き、土地を使用して得た利益は、土地の所有者に返さなければならないと判示しました。
この判断は、事情を知らない借主(善意の占有者)を保護し、建物の賃貸借における取引の安全を確保する一方で、土地の不法占拠という事情を知っている(悪意)にもかかわらず、土地を使用した借主には適切な責任を負わせるものであると考えられます。
本裁定は、建物の借主の責任範囲を明確にするとともに、今後の同種事案における重要な判断基準となることが期待されます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
秋口麻貴弁護士
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