ニュース 法律 作成日:2026年7月20日_記事番号:T00129696
知っておこう台湾法台湾での駐在生活は集合住宅での暮らしが中心であり、ベランダ同士が近接しているため、隣戸のたばこの煙をめぐるトラブルが起こりがちです。今回は、ベランダ喫煙による受動喫煙が争われた地方裁判所の裁判例を紹介し、留意すべき点を説明します。
■ベランダで喫煙
事案は、隣戸の住人が自宅ベランダで喫煙し、その煙が原告宅に流れ込んだというものです。原告は、管理委員会や大家への相談、市政府のホットラインへの通報を重ねても改善されなかったため、提訴に至りました。これに対し、被告は「自宅で合法的に吸っているだけだ」、「壁で隔てられ約4メートル離れており、煙は台所や排気管に由来する可能性がある」などと反論しました。
■裁判官が現場検証
判決の分かれ目となったのは、裁判官による現場検証です。実際に被告宅のベランダでたばこに火をつけたところ、ほどなく原告宅のベランダで臭いが確認でき、掃き出し窓を開けるとリビングにまで及びました。これにより「煙は被告由来ではない」との反論は退けられ、因果関係が認定されました。
■差止めと賠償の法的根拠
法的根拠は二つあり、1つ目は民法793条の「煙気、臭気などの侵入禁止」です。同条により隣地からの煙気、臭気などの侵入を禁止でき、裁判所はたばこの煙もこれに含まれると判断しました。もう1つは民法184条及び195条の「不法行為」です。裁判所は、たばこの煙が国際がん研究機関の定める第一級発がん物質であること等から、原告の「健康権」侵害を認めました。結論として、裁判所は煙の侵入の差止めと、慰謝料2万台湾元の支払いを命じました。
日本の成人喫煙率は台湾よりも高い水準にあり、在台日本人が留意すべき点は、「自宅で吸う自由」があるとはいえ、隣人の健康権を侵害すれば差止め・賠償の対象となり得ること、そして慰謝料の支払いを命じられる可能性があることです。喫煙は換気設備の下や指定場所で行うなどのちょっとした配慮が、隣人トラブルと法的リスクの回避につながります。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
鄭惟駿弁護士
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