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第611回 国旗損壊の罪


ニュース 法律 作成日:2026年3月30日_記事番号:T00127633

知っておこう台湾法

第611回 国旗損壊の罪

 先日、台南市政府が市政広場でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の台湾対韓国戦をライブ中継した際、現場にいたある女性が中華民国の国旗を座席エリアの地面に投げ捨て、両足で踏みつけました(以下、「本件行為」といいます)。この件について、国旗損壊罪の疑いがあるため、警察は当該女性に出頭して事情聴取を受けるよう通知することを予定しているようです。

■1年以下の懲役か罰金

 日本法では、刑法第92条において、外国に対して侮辱を加える目的で、外国の国旗を損壊等した場合は、外国国章損壊等罪が成立する旨が規定されています。しかし、日本の国旗を損壊した場合については規定されていないため、器物損壊罪等の別の犯罪に該当しない限り、日本の国旗を損壊してもそれ自体で処罰されることはありません。

 これに対して、台湾法では、刑法第160条第1項において、「中華民国を侮辱する意図をもって、中華民国の国章、国旗を公然と損壊、除去または汚損した者は、1年以下の懲役、拘留または9000台湾元以下の罰金に処する」旨が規定されています。

 また、外国国旗の損壊等についても、刑法第118条において、「外国を侮辱する意図をもって、公然と外国の国旗、国章を損壊、除去または汚損した者は、1年以下の懲役、拘留または9000元以下の罰金に処する」旨が規定されています。

 このように、台湾では自国の国旗を損壊した場合も処罰の対象とされているため、本件行為について、女性には国旗損壊罪が成立する可能性があると考えます。

■孫文像の損壊も処罰対象

 なお、台湾では、刑法第160条第2項において、「中華民国を創設した孫先生(孫文)を侮辱する意図をもって、その遺像を公然と損壊、撤去、または汚損した者も、同様とする」旨が規定され、上記の国旗損壊罪と同様に処罰の対象とされています。

 スポーツ観戦で盛り上がったり、旅行で気が緩んだりすることもありますが、国旗や孫文の像等にいたずらをすると刑事事件に発展する可能性があるため注意が必要です。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

福田優二弁護士

福田優二弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

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