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第613回 政治献金


ニュース 法律 作成日:2026年4月20日_記事番号:T00127994

知っておこう台湾法

第613回 政治献金

 台湾社会の大きな注目を集めた柯文哲・前台北市長の汚職事件は、2年近くの審理を経て、2026年3月26日に台北地方裁判所で第一審判決が下され、その中で、柯氏が起訴された政治献金横領の部分は全て有罪と認定されました。

■政治献金の規定

 いわゆる「政治献金」とは、政治献金法(以下「本法」といいます)第2条第1号によれば、選挙活動またはその他の政治関連活動に従事する個人または団体に対し、無償で提供される動産または不動産、不相当な対価の給付、債務の免除またはその他の経済的利益を指します。

 政治献金の収受、寄付および申告に関して、本法には厳格な規定があります。

 主な規定は以下の通りです。

一、政治献金を受け取ることができる受贈者は、監察院の許可を得て政治献金専用口座を開設した政党、政治団体および立候補予定者に限られます。(本法第3条、第4条)

二、一定の身分を有する者は、政治献金を寄付することができません。例えば、「公営事業または政府が資本の20%以上を保有する民間企業」、「政府機関と巨額の調達契約または重大な公共建設投資契約を結び、契約履行期間中にある事業者」、「規定に従って補填(ほてん)されていない累積赤字を抱える営利事業」、「外国人、中国大陸地域の人民、香港またはマカオの住民」などは、いずれも寄付することができません。(本法第7条)

三、政党、政治団体または立候補予定者に対する寄付金額には一定の制限があります。個人寄付者を例に挙げると、同一の政党に対する寄付総額は年間30万台湾元を超えてはならず、異なる政党に対する寄付総額は年間60万元を超えてはなりません。また、10万元を超える寄付は、小切手または金融機関を通じた送金で行わなければならず、現金を交付してはなりません。(本法第14条、第17条)

四、政党、政治団体および立候補予定者は収支帳簿を設け、自らまたはその指定する人員が日々の政治献金の収支の時期、対象およびその住所、用途、金額または金銭以外の経済的利益の価額などの明細を逐一記載して調査に備えるとともに、それに基づいて会計報告書を作成しなければなりません。また、政治献金を受領した後、政党および政治団体は毎年度終了後5カ月以内に、立候補予定者は選挙投票日後3カ月以内に、監察院に会計報告書を申告しなければなりません。(本法第20条、第21条)

■個人的な使用は横領罪

 台北地方裁判所の判決書によると、柯氏は自らまたは第三者を通じて支持者からの政治献金を収受した後、所属政党(台湾民衆党)の申告済み政治献金専用口座に振り込まず、個人的な用途(家族の株式購入を含みます)に使用したため、刑法第336条第1項の横領罪に該当するとされました。

 従って、企業が政治献金の寄付を通じて公共事務に参加しようとする場合は、台湾の法律に違反しないよう、上記の政治献金法上の関連制限に特に注意する必要があります。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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