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第629回 デリバリー配達員に関する特別法


ニュース 法律 作成日:2026年8月10日_記事番号:T00130095

知っておこう台湾法

第629回 デリバリー配達員に関する特別法

 「デリバリープラットフォーム配達員の権益保障およびデリバリープラットフォーム管理法」(以下「配達員に関する特別法」といいます)が、2026年7月21日に正式に施行されました。

 これは、台湾で初めてデリバリープラットフォームと配達員の権利義務を専門に規定した法律であり、その主な目的は、配達員、提携店舗および消費者の権益を保障するとともに、デリバリープラットフォームの管理制度を確立し、各当事者間の権利義務関係のバランスを取ることにあります。

 近年、デリバリープラットフォームは急速に発展し、オンライン注文やデリバリーサービスは台湾の人々の日常生活にすっかり溶け込んでいます。

 しかしながら、配達員の多くはプラットフォームに雇用された労働者ではなく、請負の形でプラットフォームと提携しているため、配達員の労働保障、保険および報酬制度などの問題がたびたび社会的な関心を集めており、配達員に関する特別法は、こうした議論に応える重要な立法と見なされています。

■契約内容を透明化

 配達員に関する特別法の重点は以下のとおりです。

一、契約内容の透明化(第4条、第5条):プラットフォームは規定に従い、書面または電子契約を提供し、業務内容、報酬、保険、契約終了などの事項を明記しなければなりません。契約の重要な内容に変更がある場合は法に従って手続きを行わなければならず、定型約款によってプラットフォームの責任を免除したり、配達員の責任を加重したりするような、著しく公平性を欠く条項を定めてはなりません。

二、報酬に関する権益の保障(第6条~第8条):プラットフォームは報酬の計算、調整および支払方法と期限を開示しなければならず、恣意的に報酬を控除・減額してはなりません。また、報酬制度の透明性を高めるよう、約定した期限に従って報酬を支払わなければなりません。

三、労働安全と保険の強化(第9条、第10条):プラットフォームは必要な安全教育および安全管理措置を提供し、配達員が役務を提供する前に関連する保険に加入させることで、労働災害のリスクを低減させなければなりません。

四、業務の自主性と手続きの公平性の保障(第11条、第12条):プラットフォームは配達員に対し、特定の時間にオンラインにすることを強制してはならず、配達員に対して不合理な方法で制限を加えたり、不利益な取り扱いをしたりしてはなりません。受注の制限、アカウントの停止、または契約の解除を行おうとする場合も、正当な手続きおよび法律の規定に適合しなければなりません。

五、プラットフォーム監督メカニズムの構築(第13条~第25条):特別法は主管機関に対し、監査、資料提供の要求、期限付きの改善命令および制裁等の権限を付与しており、契約、保険、安全管理などの規定に違反したプラットフォームについて、法律の確実な履行を確保するため、法に基づき改善を命じたり、過料を科したりすることができます。

■利用料金が上昇か

 配達員にとっては、配達員に関する特別法によって契約の保障、報酬の透明性、安全措置および保険の保障が向上します。

 プラットフォームにとっては、より充実した契約管理、保険、安全およびコンプライアンスの制度を確立する必要があり、運営コストが増加する可能性があります。

 消費者にとっては、コスト上昇に伴いプラットフォームが一部の料金を調整する可能性は排除できないものの、長期的には配送の安全性やサービス品質の向上に寄与します。

 配達員に関する特別法の施行は、台湾がプラットフォーム経済に関する特別法による管理制度を正式に確立したことを意味します。今後、主管機関の法執行の実務、行政解釈および裁判所の判決が徐々に蓄積されていく中で、配達員の保障、プラットフォームのイノベーションおよび消費者の利益のバランスをいかに取っていくかが引き続き注目されます。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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