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第12回 進む高齢化、住宅にエレベーター設置補助/台湾


ニュース 建設 作成日:2023年3月13日_記事番号:T00107862

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第12回 進む高齢化、住宅にエレベーター設置補助/台湾

 近所の5階建ての集合住宅でエレベーターが設置されたかと思えば、同じ通りの別の集合住宅でもエレベーター設置工事が始まりました。

/date/2023/03/13/20elevator_2.jpg住宅へのエレベーター設置例(YSN)

 台湾も2025年に5人に1人が高齢者という超高齢社会を迎える見通しです。年をとれば、階段の上り下りも大変。政府から補助金が支給されることもエレベーター設置が増えている一因です。

/date/2023/03/13/20ag_2.jpg国家発展委員会(国発会)サイトより

バリアフリー化に補助金

 集合住宅とは、一戸建てと区別する用語で、日本ではアパート、マンションの総称です。台湾では▽公寓(ゴンユー)、6階建て以下、▽華廈(ホワシャー)、7~10階建て、▽大樓(ターロー)、11階建て以上──を含みます。

 台湾の建築法規で、6階建て以上の建築物はエレベーター設置が義務付けれられています。そのため華廈と大樓にはエレベーターが必ずあり、公寓は3~5階建てでエレベーターがないことが多いです。

 そこで、建築行政を担当する内政部営建署は2016年から、県市政府のバリアフリー化の補助金制度を支援しています。23年度の場合、5階建て以下の公寓のエレベーター設置は自己負担55%が必要で、最大216万台湾元(約950万円)の補助金を支給するなどの内容です。

 台北市政府や新北市政府は独自に補助金制度を導入しています。

約半数が階段生活

 内政部の統計によると、台北市に22年第3四半期に登記されている住宅は90万2800軒で、うち▽4~5階建て、43%、▽1~3階建て、9%──のため、約半数にエレベーターがないと推定されます。

 台北市の22年第1四半期の住宅価格は、公寓なら平均1722万1000元(1坪60万2600元)、エレベーター付きなら2773万元(1坪70万2700元)と、総額で1000万元近い差があります。

 不動産業界の専門家は、台北市で初めて住宅を購入する若者は公寓を選び、歳をとってからエレベーター付き住宅に買い換える傾向があると指摘しています。

 ただ、高齢になると、住み慣れた自宅を離れることや引っ越しも負担なので、今後エレベーター増設が進みそうです。

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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