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第15回 予防医療で健康増進、全民健康保険の無料項目/台湾


ニュース 医薬 作成日:2023年4月24日_記事番号:T00108570

ワイズニュースこぼれ話

第15回 予防医療で健康増進、全民健康保険の無料項目/台湾

 なんだか歯の調子が悪いような気がして、数年ぶりに歯医者に行こうかなと話すと、台湾人の友人に一斉に驚かれました。全民健康保険(健保)カード(健康保険証)があれば、半年に一度、歯のクリーニング(歯石除去)が受けられるため、1年に2回は必ず歯科医院を受診して、歯を見てもらっているそうです。

 台湾の政府は、病気の早期発見を目指す予防医療を重視しており、外国人でも健保カードがあれば受けられるのだから、利用するようにと勧められました。

がん検診や健康診断も

 医療機関で健保カードを提示し、掛号費(日本の初診料・再診料に相当)を払えば、無料で受けられる項目はほかにもあります。

 歯科医療では、13歳以上は半年に一度、歯のクリーニングを受けられるほか、0~6歳の乳幼児は虫歯予防のためのフッ素塗布が受けられます。

 台湾でも死因1位の悪性新生物(がん)関連では、30歳以上の女性は3年に1回、子宮頸がんを発見するためのパップテスト(細胞診検査)が受けられ、45歳以上の女性は乳がんのマンモグラフィ(乳房X線)検査が受けられます。

 口腔がんの検査は、30歳以上でビンロウ(檳榔)や喫煙習慣がある人が2年に1回、大腸がんの検査は50歳以上が2年に1回、B型肝炎、C型肝炎の検査は55歳以上が一生に1回無料で受けられます。

台湾人の21年死因

https://www.ys-consulting.com.tw/news/103393.html

 このほか、40~64歳は3年に1回、65歳以上は1年に1回、身長や体重、血液検査や尿検査などの健康診断を無料で受けることができます。

1年に平均16回受診

 台湾の病院はいつも混んでいるなと思っていたのですが、無料の検査のおかげで予防医療の意識が高いことや、掛号費があまり高くなく、受診の心理的ハードルが低いことが一因かもしれません。

 衛生福利部中央健康保険署の統計によると、2022年の医療機関の受診回数は延べ3億8151万回でした。台湾の人口2331万人で割ると、1人当たり16.4回。ほぼ毎月受診している計算です。

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台湾の人口など経済統計速報

https://www.ys-consulting.com.tw/news/108377.html

 日本ではマイナンバー(個人番号)健康保険証利用で、特定健診情報などがマイナポータルで閲覧できるようになりましたが、台湾でも既に健保署のアプリ「健保快易通」の「健康存摺」で、受診記録などを確認することができます。

アプリ「健保快易通」QRコード

https://www.nhi.gov.tw/Content_List.aspx?n=2B2E346936670280&topn=4864A82710DE35ED

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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