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記事番号:T00024736
2010年8月19日0:00

 以下は2010年8月に公開した「フレキシブル基板用部材(1)(2)」を編集したものです。


 フレキシブル銅張積層板(Flexible Cupper Clad Laminate, FCCL)は、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit, FPC)を構成する主要部材である。FCCLはポリイミドフィルム(PI)と銅箔からなる。FPCは折り畳むことが可能なため、携帯電話、パソコンやデジタルカメラなどの接続部で不可欠の材料となっている。

 FCCL市場を本格的に拡大させたのは日本メーカーだった。しかし今では台湾政府が運営する研究所、工業技術研究院(ITRI)からの技術移転を受けた台湾のメーカーが追い上げている。2009年時点で日本の生産シェアは58%になった(図1)。弊社既刊レポート「台湾フレキシブル基板用部材市場実態調査【フレキシブル銅箔基板(FCCL)編】」に関連した市場概況を紹介する。

3層から2層へ参入

 PIと銅箔の間に接着層があるFCCLを3層FCCL、無接着剤のものを2層FCCLと呼ぶ。2層FCCLは3層FCCLよりも屈曲性、耐熱性、寸法安定性、電気特性が良い。このため、3層FCCLから薄型な2層FCCLへの代替が見られる。工研院によると、2層FCCLの市場規模が2006年に初めて3層FCCLの規模を超えた(図2)。ただ3層FCCLは2層品より高価なので、3層FCCLも需要が堅調であり、3層・2層共に市場が拡大している。

 5ー6年前まで2層FCCL市場は、ほとんど日本メーカーによって独占されていた。例えば新日鉄化学は、2層FCCLで80%以上の市場シェアを持っていた。一方台湾メーカーは、3層FCCLをメインに生産していたが近年、工研院の技術移転を受けて量産している(表1)。台湾は2005年から日本に次ぐ世界二位の2層FCCL生産国となった、と工研院はいう。

 

 

2層品を台湾勢が拡大するわけ

 台湾メーカーが2層FCCL市場に参入した理由は二つある。第1は、FCCLが成熟し価格が重要な競争軸になったこと。例えば、2層品トップメーカーである新日鉄化学は2006年に2層FCCLの生産能力を大幅に増強するとともに、値下げを実施した。その時に2層品全体の価格は30%も下落した。その後で2層と3層の価格差は、2004年の1.5倍や2倍以上から10%以下に減った。

 第2は、2層品の需要がスマートフォンなどによって急増したこと。スマートフォンは小型軽量で高価なので、FPCの使用量が多い。しかも台湾企業がそれらを製造しているので、台湾のFPC関連メーカーは取引量を拡大しやすい。工研院によると、2010年のFPC市場は9%の成長する(図3)。

 現在の台湾メーカーは二つのセグメントに分けられる。一つは2層と3層の両方を生産するメーカーで台虹(Taiflex、タイフレックス)、律勝(Microcosm、マイクロコスム)が代表的である。もう一つは2層品メーカーで新揚(Thinflex、シンフレックス)と佳勝(Azotek、アゾテック)などがある。以下では主だった3社の動向を説明する。

台虹:世界三位でも太陽電池へ

 主に3層FCCLを生産し、台湾及び中国における3層FCCLとカバーレイ(FPCを保護するために表に貼るフィルム、いわゆるCL)市場のトップ大手メーカー。現在は世界三位のFCCL生産メーカーとなっている。日本の有沢製作所から技術移転を受けた。台虹が中国の顧客を重視しており、それは拠点配置に現れている。2007年に中国の江蘇省昆山にFCCL工場を建設した。台北県の林口、廣東省の深圳、珠海と福建省の廈門にオフィスを構えている。

 台虹はアップルの委託生産メーカーである。2010年にiPhone4とiPadの大ヒットにより、台虹のFCCL事業は成長するとみられているものの、2010年のFCCL事業の成長率は10%〜15%に限られる可能性が高い。原料となる銅箔の価格が高騰しており、PIも不足気味だからだ。

 台虹は2008年から銅箔を用いない太陽電池用バックシート(TPT)を販売し、急速に売り上げ比率を増やした。その売上高と粗利率は3層FCCLを超えている(図4)。新聞報道では「2010年の全社売上高のうち半分以上をTPTで得たい」と同社総経理は発言している。

律勝:価格で台虹と対抗

 律勝は、台虹と違って自社開発によってコストを下げることにこだわっているメーカーである。このため粗利益が台虹より高く、価格競争が得意とされている。2005年から2層FCCLに参入した。台湾で初めてキャスト、ラミネートとスパッタリング三種類の2層FCCL製作法を持ったが、スパッタリング製法は歩留まりが悪かったため、現在は生産を放棄した。2層FCCLの売上高比率は15%に過ぎない。

 中国の蘇州工場は2005年3月から3層FCCLを量産し、今は同社の1/3の生産能力を持っている。中国需要を応えるため、2010年5月には蘇州第二期工場を拡大するとしていた。さらに2010年において、台湾工場と蘇州工場の生産能力を統合し、生産利益の向上や運送コストのを図る考えである(下表)。

 アップルの委託生産メーカーとして成長していく台虹に対して、律勝はそこまでの優良な顧客を保持していない。実際、同社製品の粗利益率は2010年第一四半期、2005年の38%からの15%に落ちた(下図右)。律勝には、この課題の克服が必要であろう。

 

 

新揚:2層で台湾一位、世界二位

 2002年に2層FCCLの生産に投入し、量産化した台湾初の2層FCCL生産メーカー。世界中の2層FCCL産業においても新日鉄化学の次に世界二位のメーカーである。しかし営業赤字が続いている(図6)。2009年12月に有沢製作所に51%の株を取得され、事実上に有沢製作所の台湾支社となった。

 

今後のチャンスは?

 台湾のFCCLメーカーのチャンスと展望について、次の3つが考えられる。まず円高である。ここ一年の円高の中、コストや為替が比較的安定している台湾メーカーや中国メーカーが選ばれる傾向がある。その中にあって中国政府は2008年にFPCを奨励産業から外したので、台湾メーカーは成長のチャンスをものにしやすくなった。

 もう一つは、台湾メーカーがPIや銅箔といった原料分野に躍進すること。FPCの原料供給は今のところデュポンや鐘淵化工、日鉱、三井金属などによって寡占されている。しかし台湾にも達邁(Taimide)などの材料メーカーが登場してきた。現在の生産量は日米大手に及ばないが、台湾のFCCLメーカーと共に成長すれば、競争環境が変わる。

 最後は、台湾メーカーが高単価品を製造することである。ハイエンド品向けの2層FCCLには、キャスト、レミネートとスパッタリングという三つの製法がある。その中でHDIプリント基板やCOF(Chip on Flim)に用いられているスパッタリングは、最も複雑で設備コストが高い。現在は3Mやデュポンだけが量産に用いている(右表)。スパッタリングという課題を、台湾メーカーがいつ克服するのが注視する必要がありそうだ。

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