リサーチ

記事番号:T00062463
2013年8月8日0:00

 Q4では世界景気の緩やかな回復及び低い基準期間の影響により、米国は財政危機を避けることができた。また、徐々に落ち着きを見せている欧州債務危機と安定している中国の好況から、世界景気回復の動きが見えた。

 2012年の台湾機器産業の産額は2011年と比べ、大きな変化はなく、9500億台湾ドルに達した。工作機械の産額は小幅な3.5%増の1605億台湾ドルに達し、機器産業の全体産額は工作機械と部品によって、 2011年のレベルまで引き上げられた。

 台湾は開放経済を実行している国であり、輸出はGDPの65%も占めているため、常に国内外の不確定要素に影響される。特に世界的緊急事態が急速に広がった場合、情勢予測し、把握するのは更に困難となる。2012年の台湾経済を振りかえると、以下のことが分かる。Q1は欧州と米国の債務危機が引き続いたため、輸出減速しただけでなく、軟着陸の危機もあった。2011年後半から2012年にかけて、世界中の企業の保守的な資本的支出と、韓国とEU、アメリカとのFTAの締結が、台湾工作機械メーカーの受注減少の原因となった。Q2では、原料コストが世界的に増幅したため、インフレの懸念が続いていた。Q3はアメリカの景気減速及び中国などの新興国市場の勢いが緩くなったことにより、国際機関が世界経済成長率見通しの下方修正を続けていた。例をあげると、グローバル・インサイトは2012年世界経済成長見通しを3.6%から2.5%に修正し、その下落は1.1%にも達した。Q4では世界景気の緩やかな回復、低い基準期間の影響、欧州債務危機の制御及び安定している中国の好況により、世界景気回復の動きを見せた。最も注目すべきことは、台湾工作機械製本を値上げさせる原料の価額と為替の変動である。台湾機器は輸出指向であるため、為替の変動にとても敏感である。また、アメリカは台湾機器の輸出先で第二位であったが、台湾元対米ドルの切り上げ、韓国ウォン対米ドルの10%切り下げ、韓米FTAにより、アメリカに輸出される韓国製品の関税が4%も少なくなった。そのため、国際市場における台湾製品の競争力は落ち、2012年の台湾機器輸出に影響を及す原因となった。

 2012年、工作機械の主要輸出国である日本の輸出額は、116億米ドルに達し、世界一位になった。次いでドイツ(104億米ドル)、イタリア(44億米ドル)、台湾(42億米ドル)である。上位三位の輸出国と台湾は異なる発展経路を辿っている。日本とドイツ国内には、自動車業界や機器業界など強大な関連産業を持っているが、台湾の工作機器の発展初期にはなかった。輸出指向の選択肢しかなかった台湾の工作機器業界であるが、工作機器の関連産業の支えのもと急速に成長し、加工関連産業に関する知識を蓄積し、集団となって海外進出を始めた。こうして、国際マーケティングの経験を積み上げ、第四位の輸出国となり、イタリアのあとを追っている。経済部統計処のデータによると、台湾工作機械メーカーは1,487社あり、従業者は31,619人いる。主に中部地区に集中し、総数の58%を占め、北部は28%、南部は11%である。主要製品は全製品の35.9%を占める複合加工機で、次いで18.8%のNC旋盤、13.3%のせん断機と孔貫盤である。このように、台湾工作機械業界は標準的な輸出指向の産業となった。

 2012年の台湾において、工作機械の輸入量第一位は総数の58.4%を占める日本である。このことは、緊密な台日関係と、ハイエンド機器はやはり日本がトップであることを示した。次いで、第二位と第三位は10.5%を占める中国と9.1%を占めるドイツである。輸出においては、輸出量の35.2%を占めた中国が第一位の輸出先であり、台湾と中国が同じ言語を話し、同じ民族であるという優位性を示した。直接中国に生産拠点と販売拠点を設置した台湾事業も数多くあり、全機システム設備以外に、部品業界にも利益がもたらされた。第二位の輸出先は輸出総量の12.6%を占めたアメリカである。オバマが大統領に就任して以来、金融危機がもたらした衝撃の改善と金融システムの立て直しに力を注いでいる。最初の任務は雇用と消費者市場を再構築であり、最も重要な政策は機器設備のニーズを増やす製造業の復興である。輸出先の第三位は6.3%のタイで、第四位は4.8%のトルコである。(図2参照)

 2012年、内需拡大を図る中国の十二次五カ年方針、製造業界の振興を図るアメリカのアライアンスプロジェクト、日本円と韓国ウォンの切り下げなど世界経済の波乱は、台湾経済を不安定にさせた要因である。国際通貨基金(IMF)のデータによると、2012年の台湾の経済成長率(GDP)は僅か1.3%だが、2013年には3.0%になると示した。この不景気で世界景気が弱まり、GDPの構成要素の成長率は緩やかになり、世界中の経済政策が徐々に縮小修正されていることに関係がある。以前の高い成長率と比べることはできないが、2012年の台湾の経済成長率は一定のレベルを維持している。

 2012年の工作機械業界の状況(表3参照)に関しては、Gardner Publication Inc.のデータで分かる通り、世界全体の消費者市場は854.67億米ドルにまで達し、全体産額は923.05億米ドルに達している。中国は工作機械の最大輸入国であり、工作機械を生産する一大国である。その消費額は世界消費総額の45%を占める385.1億米ドルで、生産額は世界生産総額の29.54%を占める275.4億米ドルに達した。日本とドイツは工作機械消費額と生産額の第二位と第三位である。台湾は穏やかな成長を見せており、世界総額の2.16%の消費額と世界総額の5.8%の生産額を持った。工作機械の主要輸入国の上位三位は中国(34.17%)、アメリカ(14.51%)とドイツ(7.94%)であり、合計輸入額は401.48億米ドルに達した。一方、2102年の工作機械の輸出総額は479.04億米ドルで、日本は第一位で25%ほどを占め、第二位のドイツと第三位のイタリアはそれぞれ21.73%と9.26%を占めている。その後ろを追っているのは輸出総額の8.84%を占める台湾であり、輸出額は42.36億米ドルにも達した。その金額は2011年と比べて、6%増の成長という新しい記録を作った。

 台湾は持続可能な経済発展と国民経済の改善などの目標を達成するために、競争力を持つメーカーを更に多く育成している。2013年、天下雑誌(522号)は「小強企業」という隠れたチャンピオンメーカーを探すため、製造業界の業者を2000社調査した。小強企業というのは中小規模と数多くない従業員を持ちながら、洗練された技術及び高付加価値などの特徴を持ち、環境の変化にも影響されずにコアポジションに立てるメーカーを指している。調査結果によると、2012年の製造業全体の収益は2011年に比べ、小幅に1.9%増の26.85兆であり、平均利益率は2.2%である。電気機器業界の収益は2,912億台湾ドルであり、平均純利益は2.53%である。工作機械及び部品業界においては、収益上位の会社は友嘉実業、上銀科技、東台精機、友嘉国際控股だ。そして、製造業トップ2000企業にランクインした会社は合計33社もあり、全体収益は1373.83億台湾ドルにも達し、すばらしい成果を上げた。

 2012年の工作機械及び部品業界の企業収益成長ランキングで、友嘉実業は213.88億台湾ドルという優れた実績を上げた。中国市場を主力にしている友佳国際控股は世界景気に影響され、2011年では収益は下落したが、71.82億台湾ドルの実績を上げた。友嘉集団は全体的にすばらしいポフォーマスを見せた。上銀科技は駆動制御の先導企業であり、2012年の収益と純利益は123.72億台湾ドルと約20億台湾ドルもあり、利益率は16.19%もある。上位25位にランクインした企業はすべて知名度の高いメーカーであり、これらのメーカーが世界市場に向けた技術開発に力を注ぎ、世界中に台湾の名を広めた。新しくランクインした中型企業も良い実績を上げた。利益率を見ると、二桁の成長率があるのは慶鴻機電工業(15.25%)、百徳機械(11.59%)、栄田精機(10.24%)などである。ランキングにおいて、注目すべきであるのは、去年の851位から427位に424位も上がった金豊機器である。これらは、2012年の世界的不況の中でも、業者は精密技術と高い品質を保つ努力を行い、実力を上げてきた証拠である。(表4を参照)

 技術の研究開発(自社開発のサーボコントローラ、90%以上コンポーネントは自社生産)を実施し続けている慶鴻機電は台湾一のワイヤ放電加工機のメーカーであり、世界でも上位五位のワイヤ放電加工機メーカーに入っている。慶鴻機電は、CHMERというブランドを作り、台湾の汎用ワイヤ放電加工機市場に覇者となり、世界最速の自動糸通し装置も開発した。そのため、台湾は日本、スイスと共に、ワイヤ放電加工機の三本柱となり、業界は慶鴻機電を放電加工機の奇跡と呼んでいる。

 栄田精機は東台集団の強力な支援によって、去年の年間収益は8年前の7500万台湾ドルの20倍も上がり、15億台湾ドルに達した。去年の工作機械業界の不況にも関わらず、年間収益は26%も上がった要因は、立旋盤の生産だけに専念している栄田精機が、台湾国内でのみ名声を上げたのではなく、アラスカの石油王、GE、ロールスロイスなどの大型国際企業にも進出し、取引に成功していたからである。今後、栄田精機は台湾初のターニング、フライス、ミーリングなどの機能を持つ3.5メートルガントリータイプの複合加工機を開発し、イギリスに出荷し、台湾立旋盤工作機械の新時代を切り開いていく。

 ランキングの順位が大きく上がった金豊機器は、シングルクランクサーボプレスの開発の次に、縦式ダブルクランクサーボプレス、連桿サーボプレス、熱間鍛造プレスなどの人気機種もリリースし、強力の開発力と多様な生産ラインを見せた。収益率が12.5%にも達したのは、中国での長年の努力が実ったからである。また、製造業を復興するアメリカの政策は、金豊機器の売上高を57%も伸ばした。そして、同社が新しく開発したサーボプレスはアメリカ、東南アジアで好評を得ており、市場の変化により熱間鍛造プレスが中国工場に広く使われるようになったのも、今年の収益に良い影響を与えるはずである。

 全体的に見ると、2012年の世界景気の波乱にも関わらず、台湾工作機械及び部品メーカーは安定かつ着実な成果を示し、安定した受注と収益を維持した。現在では、世界景気の不安定により、市場需要は限られているが、そこにはまだチャンスがあるはずである。困難を克服できたメーカーこそが、急速に変化する国際情勢に対応できるメーカーである。機械領域に優れた中小企業は、台湾に1000社以上もある。コア技術と努力し続ける心意気こそが中型企業の付加価値である。変化にいつでも対応できる高度な柔軟性を持つ企業こそが成功への道を切り開き、真の「隠れたチャンピオン」である。

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