【ワイズリサーチ】台湾自動車ブランドの発展(下)


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年12月5日

機械業界 自動車・二輪車

【ワイズリサーチ】台湾自動車ブランドの発展(下)

記事番号:T00062542

AUTO+IT

 華創車電(HAITEC)は「先を見通し、期待を超える(預先設想、超越期待)」というコンセプトの下、消費者が人間性を重視したテクノロジーを享受できるよう、「人間」を出発点とした車載電子モジュールの開発に注力している。

 同社はインテリジェントカーおよび関連部品を産業の発展に向けた具体的製品と捉えており、▽車載用情報統合プラットフォーム、共同開発・宏達国際電子(HTC)▽360度パノラマモニターシステム/サイドモニターシステム、共同開発・華晶科技(アルテック)▽高感度ナイトビジョンシステム/車線逸脱防止支援システム、共同開発・永彰機電——など安全に関する先進的なカーエレクトロニクス設備の開発を進めている。

 なお車載用情報プラットフォーム「THINK+」は業界に先駆けてアンドロイドOS(基本ソフト)を基に開発したシステムを採用。スマートフォンをTHINK+にリンクさせれば、 ダッシュボード中央の9インチタッチスクリーンを通じてスマートフォン内の各アプリケーションを操作することできるようになるなど、無限の拡張性を秘めている。

 またTHINK+は、車車間(V2V)と路車間(V2I)の狭域通信(DSRC)により、▽走行の安全性強化▽アラートの提示▽動的・即時的ナービゲーション▽省エネ▽二酸化炭素(CO2)削減——などの性能強化を図っている。

 

AUTO+ET

 温室効果ガスの排出、地球温暖化、エネルギー危機などの問題に直面し、 グリーンエネルギーによる環境保護が世界共通の課題となる中、新エネルギー車の開発が自動車産業の潮流となっている。

 華創車電も段階的に電気自動車(EV)の開発を進め、2009年に従来型エンジンに代わり誘導電動機を搭載し、出力150kW(200馬力)、最高出力180kW(240馬力)と同クラスのガソリン車およびその他EVを超える動力性能を備えた「ラクスジェン7 MPV EV+」を正式発表した。さらに▽安全性▽排気▽騒音▽燃費▽盗難防止用識別番号−−に関する認証手続き、および衝突試験を通過して2010年7月に国家認証を取得し、台湾のEV 第1号となった。

 またICE(内燃機関)動力とEV動力を統合したxEVシステムを開発。自動車エネルギー管理システムおよびシステム統合技術を発展させると同時に、モータ、モータドライブ、交流電圧変換器の設計開発力を育成し、EV独自技術の強化を図っている(図1参照)。

台湾に立脚し、世界を目指す

 「自動車」は一国のイメージを象徴し、国力の延長上にあるとも言える。これまで一般市民に台湾で生産された自動車から「台湾」という国を連想させることはほとんどなかった。最大の要因は、台湾の自動車メーカーが技術を海外メーカーに頼ってきたことにある。数十年にわたり経験を蓄積し、高品質な製品を生産しながら、一般的には海外大手メーカーの技術力の「代理人」としか見なされていない。

 しかし、長期的な政策的支援および産業の発展を通じて自動車産業とIT産業のリソースを統合し、斬新なアイデアを導入して「IA(IT+AUTO)計画」を推進した結果、独創的で高付加価値な先進的カーエレクトロニクスシステムを生み出し、量産化を実現した。

 台湾独自の自動車開発には、川上の設計と研究開発(R&D)から、製造、マーケティング、ブランド運営、アフターサービスを含む川下まで200社の近くの企業が参画。これにより台湾自動車産業の完全なバリューチェーンが形成された。

 また、台湾市場のさらなる開発、専門人材の育成、就業率の引き上げ、内需市場の活性化を促し、生産額を600億台湾元に押し上げ、就業人口を4,500人以上に拡大した。このほか、中核技術を台湾にとどめるため重要部品の生産は台湾内部で行い、経済効率の悪い部品のみ海外から調達する方針を採ったことから現地調達率は従来の60%からほぼ100%に上昇した(図2参照)。



 台湾の自主開発自動車産業は、台湾をR&Dセンター、生産拠点、最初のターゲット市場としているが、その参入障壁は高く、台湾市場のみでは新興ブランドの発展を支えることはできない。そのため、世界市場に進出して経済規模を拡大すべく有効に費用を振り分けると同時に、台湾においては核心技術への投資およびリソースの構築を強化し、競争力を高める必要がある。これは「自主開発した独自ブランドを、台湾に立脚して世界に羽ばたかせる」戦略と言える。

 世界市場への進出に際しては、現地の▽法規▽関税▽物流▽産業の特性−—に基づき、輸出または現地生産のいずれかの方式を採用することになる。現在、台湾ブランドは▽中東▽ベトナム▽南米▽ロシア▽中国−−といった海外市場の開拓を積極的に進めており、台湾に形成されたバリューチェーンを基礎に最適なビジネスモデルを模索中だ。(図3参照)。


 台湾自動車産業は2010年、「裕隆飛羚」(フィーリング、1980年代後半から90年代前半にかけて裕隆汽車が生産・販売した自社ブランド車)以来となる、独自ブランド「ラクスジェン」による世界市場の再参入を果たした。最初の輸出先はドミニカ共和国とベトナム、また12年にはオーマンの首都、マスカットに拠点を設立して中東市場にも進出。さらに13年第3四半期にはロシア市場に参入した。ロシアでは12年にラクスジェンとしては初の海外支店を設立、その後ただちに生産ラインの確保、協力メーカーの誘致を進め、敷地面積23.5ヘクタールの新工場を設置し、海外展開への強い決意を示した。

 台湾自動車産業におけるイノベーションの道のりは、完成車両および部品の独立した産業を確立してシステムモジュールにおける主導権を掌握し、台湾独自ブランドの自動車を生み出す過程であった。その結果、投資、就業の増加を促すとともに、台湾が強みとする電子、ITといった技術を導入して特色ある産業が成立することとなった。

 将来、世界的大手メーカーの統合および中国ブランドの台頭が予想される中、台湾の自動車産業はその強みとリソースを結集し続けなければならない。台湾を基地とし、効率的に世界市場を開拓して経済規模を拡大すれば、「台湾のブランド化」が実現することになるだろう。

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