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「巣ごもり」でも成長する?台湾オンラインゲーム業界


リサーチ 台湾事情 作成日:2009年4月28日

Y'sの業界レポート

「巣ごもり」でも成長する?台湾オンラインゲーム業界

記事番号:T00015023

以下は2009年4月に公開した「台湾のオンラインゲーム業界(1)(2)」を編集したものです。


 リーマン・ショック以降の景気停滞の中、「巣ごもり」と呼ばれる、外出や支出を控えた生活スタイルを採る人々が増えているという。こんな中にあっても着実な成長が期待できる業界が、オンラインゲームだ。時間はかかるがお金はあまりかからないオンラインゲームは、「巣ごもり」する人々にぴったりな娯楽である。台湾におけるオンラインゲーム市場や主要企業を概観してみよう。

 台湾のオンラインゲーム市場の幕は1999年、雷爵網絡(Lager Network Technologies Inc.)によって開けられた。同社のオンラインゲーム「萬王之王」が人気を博したのだ。2004年ころから金額ベースの市場の伸び率は一桁に落ち着いたが、それでも伸び続けている(図1)。ゲーム業者のビジネルモデルの変更が好影響を与えたからだ。

 具体的には、2006年ころからユーザーに毎月ゲームの利用料を払ってもらうのでは

なく、ゲーム中のアイテムを買ったときに料金をとるようにした。こうした月額課金からアイテム課金への移行は、ユーザー数を大いに増やした。2008年、台湾におけるオンラインゲームのユーザー数は前年比

10%増の498万人となった。調査会社のIDCは、2010年までに720万人に増えるという。

MMOGが圧倒的に人気

 オンラインゲームは3種類に大別できる。第1は、MMOG(Massive Multiplayer Online Game)。数百人から数千人が同時にプレイするゲームである。第2は、Web Game。ゲームソフトをインストールせずに、ブラウザと若干のプラグインソフトで利用できる。第3は、LAN Party。人々がコンピュータを持ち寄り、お互いをLANに接続してプレイするゲームである。

 資訊工業策進会・市場情報中心によると、このうちMMOGは、オンラインゲームの93.7%のユーザーを集めている。Web Gameは31.5%、LAN Partyが17.5%だ(表1)。MMOGを細かく分類すると、最も人気が高いのはRPGをMMOG化したMMORPGである(図2)。ゲームの運営企業が構築した仮想世界で、ユーザーは他のプレーヤーと冒険を同時に楽しめる。一般的なゲームと比べて、他のプレーヤーとのコミュニケーションを楽しむ要素が強い。

4つの階層を経てサービスを提供

 台湾のオンラインゲーム業界は、ソフト開発と出荷、販売代理、ソフト流通の4つの主体から構成されている(図3・下図)。主な企業は表2の通りである。

表2 オンラインゲームを担う主な企業

ソフト開発と出荷 中華網龍(Softworldの子会社)、雷爵、華義、宇峻奧汀、戯谷
販売代理 遊戯新幹線、遊戯橘子、華義、智凡迪、網禅、因思鋭、吉恩立、網竣、雲起、雷爵、戯谷、茂為、猿人在線、依斯楚
ソフト流通 Softworld(SF)、遊戯橘子(GM)、華義、雷爵

 ただし、ソフト開発企業が自ら開発したゲームは、全体の3割程度である。そうでないゲームの大半は韓国企業のものだ。ごく一部中国、日本、米国のゲームもプレイされている。なお、ソフト開発企業は一般に自ら出荷を取り仕切るが、それを他社に販売を委託する中小企業もある。

 台湾には70社余りのオンラインゲーム会社があり、そのうち8社が株式を公開している。そのうち上位5社が市場の8割を握る。オンラインゲームの売上高ランキングは、1位Softworld(ソフトワールド、智冠)、2位Gamania(ゲマニア、遊戯橘子)、3位Chinese gamer(中華網龍)、4位IGS(鈊象電子)、5位WAYI(華義国際)となっている(図4・右図)。このほかに雷爵や茂為、伝奇、紅心辣椒など、株式を公開していないが売上高が1億台湾元以上の企業が存在する。

<Softworld>優良子会社を保有

 台湾最大のオンラインゲーム業者のSoftworldは、1983年にソフトの卸から事業を始めた。2001年に台湾証券取引所に上場し、現在はオンラインゲームの流通業者として、子会社が販売代理および開発するゲームのマーケティングを中心に事業を展開している。傘下の主な子会社には中華網龍(52%出資)、遊戯新幹線(100%出資)、智凡迪(70%出資)の3社がある(図5・右下図)。

 この中でも中華網龍は、オンラインゲームの開発分野において業界トップ企業である。中華網龍の収入源は2種類で、自社開発ゲームおよび海外ゲームの販売代理によるユーザー課金収入と受託開発による収入である。ユーザー課金による収入は収益全体の7-8割を占め、中華網龍の強固な収益基盤となっている。中華網龍は、新発想のゲームが次々に生み出すと評されている。

 遊戯新幹線と智凡迪は、バリューチェーンの川中に当たる販売業務を担当している。遊戯新幹線はグループ内のほとんどのゲームの販売を担当し、智凡迪は米国製ゲーム「魔獣世界」のみを担当している。「魔獣世界」は世界全体の会員数が1150万人を超えた大ヒットゲームだ。智凡迪は、米国の権利を持つ会社とSoftworldによる合弁会社として設立された。

 バリューチェーンの川下に当たる親会社のSoftworldでは、流通業者としての決済プラットフォームの構築、異業種との積極的な提携によるマーケットの拡大に取り組んでいる。「My Card」というオンライン決済システムにより、販売コストを低減してもいる。

<Gamania>韓国製ゲームで成長

 Gamaniaは、現在台湾2位のオンラインゲーム企業である。1995年に設立され、現在33種類のゲームを手掛ける。同社はメディアを通じた広報・宣伝を重視しており、ゲーム雑誌やテレビ番組、ゲームのポータルサイトを制作している。同社のゲームのほとんどは、韓国メーカー製である。自社開発のゲームも持つものの、開発力が弱い。このため北京と韓国の子会社にソフト開発をさせる計画もある。

 主な収益は、韓国最大のオンラインゲーム業者nc softの「天堂」の販売代理である。天堂の平均同時アクセス数は14万人。毎月約8000万元を売り上げ、全社売上高の40%を占めている。もう一つの「楓之谷」も

毎月7000万-8000万元を売り上げ、この2つのタイトルで全社売上高の8割程度を占めている。

 Gamaniaは傘下に子会社8社を持つ。「台湾易吉網」は、中国製の侠客(きょうかく)系ゲームおよび音楽系ゲームの販売と運営を行う。「飛魚数位」は、オンラインゲームのデザインと開発が主要業務となる。海外子会社の「日本橘子」「香港橘子」「北京橘子」「韓国橘子」は、現地の販売およびマーケティング活動を展開している。

 SoftworldとGamaniaにおける売上高経常利益率は10~20%と、デジタル・コンテンツ企業としては高くない(図6)。この課題の克服は、Gamaniaの方が難しい。ゲームの調達を社外に頼っているためだ。そこでGamaniaは中国市場に再挑戦し、ユーザー数を増やすことによって経営効率を高める考えである。

 

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陳 逸如

陳 逸如

ワイズコンサルティング社副社長兼ワイズリサーチ社総経理

 2006年入社、グループ副社長の傍ら豊富な專門知識を有しマーケティング及び人事労務のコンサルティング、各種研修・セミナーの分野で幅広く活躍している。クライアントの信頼も厚く高い評価を受けている。また市場調査やデータ分析にも精通し、客観的な視点からビジネス戦略の立案を行っている。(言語)日本語◎・中国語◎

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